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[ベテランCIOが語る「私がやってきたこと、そこから学んだこと」]

モノづくりのIT基盤と今後の製造業の向かうべき方向

第12回

2017年1月5日(木)寺嶋 一郎(IIBA日本支部 理事長/元・積水化学工業 情報システム部長)

前回は、情報系基盤をクラウドに移行したプロジェクトを中心に、クラウドのメリットとデメリットに関してお話しした。今回は、ITに関する中期計画で謳ったモノづくりのIT基盤の標準化の考え方と、今後の製造業の向かうべき方向に対する筆者の考えを述べてみたい。何かを読み取っていただければ幸いである。

 11回の連載を通じて、筆者が積水化学に入社して37年間、取り組んできたことを振り返りつつ、読者に参考にして頂けそうなことを明らかにしてきた。今回は筆者が退職する少し前に作成したIT中期計画について書いておきたい。積水化学では全社の中期計画と連動してITのそれを作成している。本社ではITの全体像を、個々のカンパニーではそれぞれの事業に特化したITの計画を作る構造である。本格的なITの中期計画を作ったのは2004年からで、本社のIT中計は経営会議で報告し、承認を得る。

 何事でも計画は大事だ。3年後に何を実現するのか、具体的なイメージを議論しながら、そこに到達するロードマップを作成する。その計画は総花的であっては意味がない。各社のIT部門長が集まるある会合で、IT中期計画に関する講演があった。それを聞いた他社から「自社も同じようなIT中計を作成しようとしている。ひよっとして同じコンサルを使っているのではないか」という質問があった。実は両社とも有名なコンサル会社を使っており、使用したパワポのテンプレートが同じだったのだ。

 これには思わず苦笑してしまった。コンサルの提言はあくまでも参考のはずである。テンプレートをそのまま使うのではなく、自社の状況を的確に認識して、自らの頭で考える必要があるのではないか。ちなみに、筆者はほとんどコンサルを使わなかった。使うとしても、自らの意見を補強し、トップを説得するためだ。

 本社の他の部署や事業部などはよくコンサルを使っていたが、特に「戦略コンサル」と言われる部類の人たちの費用はやたらに高い。自分たちが持ってない特定の専門知識を必要とする場合とか、見識の豊かな第三者の見方を参考にする場合ならまだいい。コンサルのやり方はMBAなどが教える一定の手順に従っているだけで、それなりに勉強をすれば同じような分析はできるものだ。

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