[調査・レポート]

ロボティクスの10大予測を発表―IDCジャパン

2017年2月13日(月)杉田 悟(IT Leaders編集部)

Robot as a ServiceにChief Robotics Officer、インテリジェントRoboNet―IDCジャパンは2017年2月9日、2020年までにこのような聞き慣れないキーワードが企業に浸透しているとの予測を発表している。目覚ましい発展を遂げるロボティクス業界、次々と新たなトレンドキーワードが誕生し、マーケット拡大を促進していくようだ。

 IDCジャパンが「世界ロボティクス関連市場2017年以降の10大予測」として発表したのが図1。ここでのロボティクスは、工場や工事現場で活躍する産業用ロボットやコミュニケーションロボットなどハードウェア付きのロボットを指し、RPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)が注目されているソフトウェアロボットは含まれていない。

(図1)世界ロボティクス関連市場 2017年以降の10大予測(出展:IDCジャパン)
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1. Robot as a Serviceが普及する

「2019年までに商用サービスロボットアプリケーションの30%は、Robot as a Serviceのビジネスモデルの形態で提供され、ロボット導入のコスト削減を促す」

 「Robot as a Service」は聞き慣れない言葉だが、PaaSのロボティクス版と考えればよさそうだ。ロボット向けのアプリケーション開発が、クラウド上に用意された開発環境で可能になるという。現在あらゆるシステムがクラウド化の方向に進んでおり、ロボティクスとて例外ではないということだ。

2. 企業にChief Robotics Officerが設置されるようになる

「2019年までに主要企業の30%はChief Robotics Officer(最高ロボティクス責任者)や組織内にロボティクス専任者を配置する」

 ロボティクスが企業で重要な位置を占めるようになれば、当然このような流れも考えられる。ただし、CIOやCSOの設置にすら時間がかかっている企業が多い日本においては、もう少し時間が掛かるかもしれない。

3. 市場の競争環境の変化

「2020年までにロボティクス導入をサポートする800億ドル規模のICT市場に新規プレーヤーが参入し、企業はベンダーの選択肢が増加する」

 端末としてのハードウェア市場がある程度成熟すれば、ソフトウェア市場も拡大する。ロボティクス導入をサービスとして提供するシステムインテグレーターやロボット用アプリの開発ベンダーなど、新たな事業領域が登場するだろう。そうなると、日本でもベンチャー参入の余地はありそうで、既存ベンダーとの競争が激化することが考えられる。

4. ロボティクス関連の人材が不足する

「2020年までにロボティクスの成長は優秀な人材の獲得競争を加速させ、平均給与は最低60%上昇するにも関わらず、ロボティクス関連職の35%は人材が不足する」

 すでに日本ではIT関連人材の絶対的な不足が予測されており、新たにロボティクスが参入すれば人材枯渇が更に増長されることは想像に難くない。特にロボティクスの普及が顕著な製造業などは、自前の人材確保が必須となりそうだ。

5. ロボティクスが規制対象に

「2019年までに政府は雇用の維持とセキュリティ、安全、プライバシー問題に対応するため、ロボティクスを対象とした規制を導入し始める」

 労働人口の減少に悩む日本では、新たな働き手としてのロボティクスに期待したいところだが、あくまでも中長期的な視点に立った場合で、短期的にはロボティクスが一部雇用を奪う可能性は否定できない。また、IT同様、セキュリティ面でのリスクを完全に無くすことはできないので、普及とともに規制が必要な場面が出てくることが予想される。

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