[イベントレポート]

デジタルとリアルの融合―3D CADの可能性を“拡張”するAR/VRテクノロジー

米ソリッドワークス主催「SOLIDWORKS WORLD 2017」展示会場レポート

2017年2月17日(金)鈴木 恭子

AR(Augmented Reality:拡張現実)やVR(Virtual Reality:仮想現実)テクノロジーが3D CAD(Computer Aided Design)の分野をも拡張しようとしている。仏ダッソー・システムズ(Dassault Systèmes)傘下のソリッドワークス(SOLIDWORKS)は、2017年2月5日~8日、年次プライベートイベント「SOLIDWORKS WORLD 2017」を開催した。本稿では、展示会場を埋め尽くした100を超える出展から、特に印象深かった製品や試作品を一挙紹介する。

コントローラなしでバーチャルオブジェクトを操作「Meta 2」

 SOLIDWORKS WORLD 2017の展示会場でひときわ注目されていたのが、2012年に米サンマテオで創業したメタ(Meta)の「Meta 2」だ。3Dコンテンツを直感的に操作可能なAR HMD(拡張現実ヘッドマウントディスプレイ)である(写真2)。

写真2:見た目よりも着け心地は良好だった「Meta 2」。出荷台数は1位が米国、2位が中国、3位が日本とドイツだという

 Meta 2の視野角は90度で、4個のカメラとスピーカー、2個のセンサーを備える。多くのAR HMDはコントローラを握りながら3Dオブジェクトを操作するが、Meta 2はセンサーが手の動きを感知し、手だけでオブジェクトを動かせる。現行バージョンはPCへの接続が必須必要だが、次のバージョンではスタンドアロンで利用できるよう開発が進められている。

写真3:メタの販売担当バイスプレジデント、リャン・パンプリン氏

 メタの販売担当バイスプレジデント、リャン・パンプリン(Ryan Pamplin)氏(写真3)は、AR HMD活用の可能性として教育(トレーニング)を挙げる。「例えば、実際の製品に3Dコンテンツを重ね合わせながら製品組み立ての手順を学ぶことで、本番同様の操作感覚が体得できる。Meta 2では、1つの3Dコンテンツを複数人で同時に見ることも可能だ。こうしたコラボレーションは、ARと3Dデータがなければ実現できない」(同氏)

 Meta 2の販売価格は949ドル(約10万8000円)で、すでに数千台の出荷実績があるという。日本のトヨタ自動車との取引実績があるほか、現在はJETRO(日本貿易振興機構)を通じて日本市場への展開を検討中とのことだ。

着るだけで心拍数を計測できる「Tyme Wear」

 3D CADは人間の形の解析や、それに基づく最適な衣料の設計(デザイン)にも役立てられている。例えば、プロのスポーツ選手が着用するウェアであれば、単に素材やスタイルを決めるだけでなく、「どの部分に」「どのくらいの伸縮性がある素材を」「どんなデザインで取り込むか」といった部分までデータ解析によって導き出しているという。

 米タイムウェア(Tyme Wear)が参考出展した「Tyme Wear(開発コード名)」は、心拍数を計測できるシャツタイプのスマートウェアだ(写真4)。

写真4:Tyme Wearシャツは洗濯機で洗え、スポーツなど激しい動きにも耐えられる性能となっている

 胸部と腹部付近にリボン状のソフトセンサー2本が縫い込まれており、呼吸パターンデータを収集する。同データは無線通信でスマートフォンに送信され、アプリを介してクラウド上で分析する。また、背中部分にあるポケットに手のひら程度の3軸加速度センサーを装着すれば、運動データと心拍数データも収集可能になる(写真5)。

 タイムウェアの共同創設者でCEOを務めるアーナー・ラルソン(Arnar Larusson)氏は、「両データを相関分析すれば、効率的なトレーニングメニューの開発や、スポーツのコーチングに役立てられる」と説明。また、アプリ側で『呼吸データが一定の閾値を超えたらアラートを出す』といった設定をすれば、メディカルの領域でも活用できるという。「年内の商品化を目指す。価格は150ドル~200ドルで提供できるようにしたい」(同氏)。

写真5:背中部分にあるポケットは「デザインも含めて改良していく」とのことだ
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