[イベントレポート]

AIの2大勢力は米中―米国で開催の人工知能学会レポート

住友セメントシステム開発 常務取締役 加藤昌宏

2017年4月19日(水)加藤 昌宏

AI(人工知能)はもはや、ITでもっとも注目されているキーワードのひとつだ。IBMやGoogle、Microsoftなど、すでに多くの企業が製品化しAIの主役としてクローズアップされている。しかし、研究者が長きにわたって研究し続けてきた成果が花開いた結果が現在の「第3次人工知能ブーム」であることを鑑みると、その未来は、やはり大学や研究施設などの研究者の手に握られており、最新の動向は学会にあるといえる。国内では接する機会の限られている人工知能の世界的な学術発表の場に、2017年の2月に米国で参加してきた人物に出会った。それが、住友セメントシステム開発で常務取締役を務める加藤昌宏氏。遅まきながら、加藤氏に現地のレポートをまとめていただいた。現地の熱を感じ取っていただきたい。

The Thirty-First AAAI Conference on Artificial Intelligence (AAAI-17)
2017年2月4日−2017年2月9日
米国 サンフランシスコ

 The Association for the Advancement of Artificial Intelligence(AAAI)が主宰する、第31回人工知能カンファレンスが2017年2月4日から9日まで、サンフランシスコで開催された。

 昨今のAIブームの中、中小IT企業である我々も時代に遅れてはならないと2年ほど前から機械学習の勉強を開始した。社内での勉強会及び海外の大学が提供するオンライン講座の受講などを実施し基礎知識を学んできた。日本の情報処理学会や人工知能学会に加入し、国内の学会にも参加を行ってきた。ここに到り、AIの最新事情を探ろうと本学会に参加することを決めた。

目を引く中国勢の伸長

(写真1)AAAI17 メイン会場

 AAAIは米国内の人工知能学会であるが、米国国内に限らず世界各国から研究者、開発者が集まり、最終的には1800人を超える参加者があった。昨今の人工知能ブームから関心が高まっており、日本からのカンファレンス参加者は2016年から倍増して100名ほどであった。しかし、中国からの参加者の伸びは日本をはるかに上まわっており勢いが感じられた。

 このカンファレンスで発表するための論文の審査基準は厳しく、投稿しても審査を通るものは全体の25%程度であり、高度な内容が要求される。投稿の数は米国と中国からが800弱とほぼ同数で、他国を大きく引き離している。採択数は両国とも200弱に及ぶ。日本からの投稿および、審査通過論文数はベスト10には入っているものの数はトップの2カ国から大きく引き離されている。ちなみに日本からの投稿数は100弱、採択数は約20であった。

 最初の2日間は土日を使いチュートリアル、ワークショップ、特別講演会などが行われた。我々はチュートリアルに参加した。1日に2テーマの講義をそれぞれ4時間聞くという形であった。深層学習、計画策定、意思決定、IoTやコンピュータポーカーなど多数のテーマが用意されていた。

 チュートリアルで自分の望むテーマが見つかれば、一流の講師から最新の技術を学べるので非常に効果があると思われる。

 3日目からは、招待講演と論文の発表およびポスターセッションが行われた。

 招待講演のテーマをあげると、人の感情を判別するAI、社会貢献に類する活動を支援・促進するAI、エキスパートシステムの歴史、対話システム、強化学習、自動運転、タグのない動画からの学習、コンピュータポーカー、2足歩行ロボットについてであった。これらの講演をとおして聴講することで、AIが今何を目指し、どこへ向かっているかを把握することが出来た。

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