[中国電脳事情]

【中国電脳事情セレクション】目指す「一帯一路」、海外での存在感を高める中国の新興IT企業、ほか

2017年6月27日(火)足立 治男

中国メディア各社の報道から、IT関連の最新動向を紹介する「中国電脳事情」。1カ月間に報じられた主要なニュースから重要なものをピックアップしてお伝えする。

目指す「一帯一路」、海外での存在感を高める中国の新興IT企業

―人民日報海外版(2017年5月23日)

 情報化が進む今日において、政策の疎通、施設の連結、貿易の円滑化、資金の融通、人心の通じ合い(これを「5通」と呼ぶ)のいずれにおいても、ITと密接であることに変わりはない。この5通を目標に、多数の中国IT企業が積極的に海外進出に挑み、国策の「一帯一路」(編集注:習近平総書記が2013年に提唱した経済圏構想)の実現に寄与している。

 北京市に本社を構えるIT企業、Kika Tech(新美互通)をご存知だろうか。中国でもまだ知名度の低い同社だが、絵文字入力アプリ「Kika Keyboard」は今や140カ国で150種類の言語に対応し、ユーザー総数2億8000万人、アクティブユーザー数8000万人にまで成長し、70カ国以上でトップシェアを誇っているという。

 IT企業の海外進出を専門に取り扱う市場調査会社、白鯨研究院のデータによると、2016年末までに海外進出を実現した中国IT企業の数は6000社、機関投資家は368社に達したという。現在の中国IT企業にとって海外IT市場とは「一帯一路」の沿線エリアを超えた、莫大なチャンスを生み出せる市場となっている。

 国内外のアプリ開発者に世界のユーザー獲得やトラフィック収益化ソリューションを提供するMobvistaは世界243カ国・地域をカバーする、世界有数のデジタルマーケティング企業だ。2016年に米国のオンライン広告会社NativeXを買収したことでも知られている。

 このほかにもCheetah Mobile(猟豹移動)、SHAREit(茄子快伝)、YOUZU.COM(游族網絡)、GO卓面(GO Desktop)といった中国IT企業が海外で一定のシェアを獲得している。

 Mobvistaの創設者/CEOの段威氏は、「我々は自身の実力だけで海外進出したのではない。同時に中国国内の多くの著名IT企業へソリューションを提供しており、これらの実績が世界で通用する競争力の獲得につながったのだ」とコメントしている。

ホンハイが湖南省に「Amazon Echo」の新生産拠点を設立へ

―雷鋒網(2017年5月1日)

 中国IT業界関係者からの情報によると、EMS(電子機器受託生産)最大手のホンハイ(鴻海精密工業)は多数の中国系企業と提携し、主に米アマゾン(Amazon.com)の製品を中心とした生産拠点を湖南省衝陽市に設立しようとしている。投資総額は60億元(約981億6000万円)で、ホンハイはすでに衝陽市政府と協定書を締結済みだ。衝陽市にとってこの生産拠点は、主に精密成型や音声デバイスを生産するモデル産業パークとして位置づけられるという。

 今回の動きで最大の要素として注目されているのが、アマゾンの新しいヒット商品である音声アシスタントAlexa搭載スピーカー「Amazon Echo」だ。ホンハイは2007年よりアマゾンと業務提携を行っており、Amazon EchoのEMS生産はホンハイが独占状態にある。

 現在、米国ではこのAmazon Echoと連携した製品やサービス(Alexa対応デバイス)が次々と発表されており、2017年はさらなる急成長が予想されている。また2017年4月にはEchoにデジタルカメラを搭載した新製品「Echo Look」が発売され、その後にはディスプレイ搭載型Echo製品「Echo Knight」が発売されるとも伝えられている。このことから、ホンハイによる衝陽市の新生産拠点も、事実上、Amazon Echoおよび関連製品の急激な生産拡大に向けた対応であると見られる。

ファーウェイ製スマートフォンの販売が好調

―新浪サイエンス(2017年5月2日)

 中国通信機器最大手のファーウェイが2017年1-3月期の業績を発表した。発表によると、同期におけるスマートフォンの出荷台数は3455万台で、前年同期比21.6%の成長となった。

 地域別では、同社のスマートフォンの出荷台数の増加スピードは前年同期比50%以上となり、そのうち32カ国において前年同期比100%に達したという。中国と欧州市場における出荷台数はそれぞれ同20%、15%の成長率で、東南アジアと南太平洋地域では同70%の成長となっている。

 米国の市場調査会社IDCの統計によると、2017年1-3月期におけるファーウェイ製スマートフォンの全世界販売台数は3420万台。前年同期比21.7%の成長で、市場シェアは9.8%上昇して世界3位となった。同社に続くのが同じく中国企業のOPPOとvivoが4位、5位にランクされている。

 中国市場全体での動向として、シンガポールの市場調査会社カナリス(Canalys)の統計によると、2017年1-3月期における中国市場でのスマートフォン出荷台数は1億1400万台で、前年同期比9%の成長となっており、そのうちファーウェイ社製スマートフォンの出荷台数は2100万台で、市場シェア率は18%でトップとなった。一方、OPPO製スマートフォンの出荷台数は2000万台で、vivo製は1700万台であった。

 このほか、ファーウェイのハイエンド(2000元〈約3万3300円〉以上)スマートフォン、)の同期出荷台数は前年同期比11%の成長となった。ドイツに本拠を置く市場調査会社GfKの調査では2017年2月、世界市場での500米ドル以上の高級スマートフォン市場におけるファーウェイ社製品シェアは9.7%に達し、そのうち、中国、スペイン、イタリア、タイ、マレーシア、南アフリカ、ポーランドなどの9カ国ではシェア10%に達したという。

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