[中国電脳事情]

【中国電脳事情セレクション】アリババクラウドがインドのタタ通信と提携、両社クラウドサービスの世界展開を加速、ほか

2017年7月18日(火)足立 治男

中国メディア各社の報道から、IT関連の最新動向を紹介する「中国電脳事情」。1カ月間に報じられた主要なニュースから重要なものをピックアップしてお伝えする。

アリババクラウドがインドのタタ通信と提携、両クラウドサービスの世界展開を加速

―lieyunwang.com(2017年6月10日)

 インドのタタ通信とアリババクラウド(阿里云)は、アリババクラウドが主催する定例イベント「云栖大会上海サミット」の席上で、両社の業務提携合意が成立したことを発表した。今後、両社はクラウド分野で製品を直結させて、全世界の150の国家と地域でクラウドサービスを展開する計画であるという。

 タタ通信はインドの大型多国籍企業であるタタグループ傘下の通信事業者で、その通信網は世界最大と言われている。今回の業務提携により、アリババクラウドの「Express Connect」(高速通道)と、タタ通信の「IZO Private Connect」の両サービスを直結させる予定だ。

 タタ通信 グローバルネットワークサービス クラウド・データセンターサービス総裁のジーニアス・ウォン(Genius Wong)氏は、「アリババクラウドは世界でもトップレベルのクラウドサービス事業者だ。我々は今回の提携で、両社が全世界の企業が推し進めるデジタル化戦略の最も忠実なパートナーになれると自負している。あらゆる企業のグローバル業務に対して利便的なインフラを提供していく」と意気込む。

 アリババクラウドはアジア最大規模のIaaS(Infrastructure as a Service)で、現在、世界14地域に数10の「飛天」データセンターを設置している。今回の云栖大会で同社は、インドとインドネシアに新たなデータセンターを建設すること、現在マレーシアに建設中のデータセンターを2017年中に稼働開始することも明かした。

中国のコンピュータゲーム市場規模が米国を超えて世界トップに

―新浪総合(2017年6月3日)

 英ロンドンのベンチャーキャピタル会社アトミコ(Atomico)の最新レポートで、2016年の世界コンピュータゲーム市場は1011億米ドル(約11兆3444億円)と、初の1000億米ドル台に達したことが台湾の聯合新聞網で報じられた。うち中国大陸地区の市場規模は246億米ドルで、米国の241億米ドルを抜いて世界トップに躍り出た。中国のコンピュータゲームプレーヤーは6億人規模に上るという。

 また、市場調査会社ニューズー(Newzoo)のデータによると、2015年の世界コンピュータゲーム産業規模は918億米ドルで、動向として、中国大陸地区のアップルストアにおけるコンピュータゲームの売上高の割合が最も顕著であり、2016年では中国大陸地区のアップルストアの売上高は、世界全体の売上高180億米ドルの31%に相当するという。2012年の時点では、世界全体の売上高24億米ドルの3%にすぎないことからも、その急成長ぶりがうかがえる。

 アトミコの研究業務主管のベーマイヤー氏は、「2016年はこれまでの多くの重要な里程標を乗り越えた年となった。現在、世界にはゲームプレーヤーは20億人を超えており、その最大多数はモバイルユーザーだ」とコメントしている。

 世界のコンピュータゲーム産業において、中国大陸地区の動向は常に注目されている。中国最大のコンピュータゲーム会社でもあるテンセント(騰訊)のモバイル向けゲーム「王者栄耀」の2017年4月売上高は実に30億元(約498億円)に上っている。

ECのグローバル化を目指し、中国電子商務法草案が全人代で2度目の審議に

―新華社(2017年6月3日)

 中国のEC事業に関する法律である電子商務法の草案が、2017年8月に全人代常務委員会(全人代の常設機関)において2回目の審議が行われることが明らかになった。2017年6月3日に北京外国語大学で開催された「電子商務立法と発展」と題した国際セミナーの席上、全国人民代表大会(日本の国会に相当)財政経済委員会の関係者が、「電子商務法は越境ECと呼ばれる海外EC取引等の促進と規範化を図り、中国の対外貿易をアップグレードさせるものだ」と指摘している。

 全国人民代表大会財政経済委員会副主任委員で中国経済体制改革研究会会長の彭森氏は、「電子商務法はインターネット経済の分野における主要な規則であり、中国と世界各国の相互交流や、共有、共同統治に関して重要な任務を負っている」と表明。続けて、「EC事業のさらなる成長と、本法の立法による国際交流と提携は、中国の経済貿易分野における国際的な連携や、グローバル経済への参与などの対外開放戦略を実施するうえでの客観的な要求であった」と説明した。

 また、同委員会調査研究室副主任の施禹之氏によると、電子商務法の草案には、「国家は越境ECの成長を奨励し、適切な越境EC活動を行うにあたって必要な監督管理体制の構築を推進。かつ越境EC活動に係る通関、税務、検査検疫などの過程の電子化を推進し、国家間の越境EC交流と提携の構築を推進する」といった規定が記載されているという。

 北京師範大学法学院教授の薛虹氏は、「電子商務法は、中国が関係する国際ルールに参加し、中国がこうした国際法律体系へ新たな提案をすることで、インターネットグローバル貿易に適した法律環境を構築することを推進するものだ」と指摘した。

 また、アリババグループ総合政策研究室主任の朱衛国氏は、「電子商務法の立法は、技術革新と商業的実践に密接であるべき。慎重に管理監督したうえで相互協力で統治して、中国のデジタル経済成長の優勢を保持し、中国がグローバル経済のフォームで競争しながら、包括的なグローバル貿易とインターネットのさらなる融合を促進するものでなければならない」との持論を述べた。

 中国商務省が発行した「中国電子商務報告2016」によると、2016年の中国EC事業の取引高は26兆1000億元(約433兆6500億円)で前年比19.8%の成長となり、この取引高は世界のEC市場での取引高の39.2%に相当し、世界最大のインターネット小売市場となっている。

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