[インタビュー]

ふくおかフィナンシャルグループ、共創施設「DIAGONAL RUN TOKYO」開設で地域とテクノロジーをマッチング

2017年8月14日(月)志度 昌宏(DIGITAL X編集長)

福岡銀行や熊本銀行、親和銀行などを擁する、ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)が2017年4月、オープンイノベーション(共創)の拠点となる「DIAGONAL RUN TOKYO(ダイアゴナルラン東京)」を東京・八重洲に開設した。グループ設立10周年の節目を迎え、FFGは共創で何を目指すのか。営業戦略部の主任調査役で、DIAGONAL RUN TOKYO ゼネラルマネージャーも務める岩田 祐一郎 氏に聞いた(聞き手は志度 昌宏=DIGITAL X=デジタルクロス編集長)

写真1:DIAGONAL RUN TOKYO ゼネラルマネージャーの岩田 祐一郎 氏写真1:DIAGONAL RUN TOKYO ゼネラルマネージャーの岩田 祐一郎 氏

−−「DIAGONAL RUN TOKYO」を東京・八重洲に置いた理由は。

 これからの事業創出には、ベンチャー企業やスタートアップ企業との交流が欠かせない。だが、どこに行けば誰と出会えるのか、どんな人がどんな技術を持っているのかは容易には分からない。それならば、そういった人たちが集まる場所を作ろうと考えた。東京事務所を置いているビルに空きスペースができたこともある。

 銀行のビジネスは今、既存の事業モデルだけでは収益を上げにくくなっている。経営基盤の強化に向けては、既に発表した長崎基盤の十八銀行との経営統合など規模の拡大を図ってはいる。だが、マイナス金利や他業種からの参入など、金融市場は年々、厳しくなる一方だ。

既存ビジネスとは“非連続な”領域へのチャレンジ

 加えて、数百万件に上る個人や法人との“取引実績”という経営資源を活用してこなかったこともある。例えば、個人顧客が何のために貯蓄しているのかなどを把握できていなかったし、個人顧客と法人顧客を結びつけて新たなビジネスを作り上げ収益に結び付けるという発想も欠けていた。

 こうした反省から、FFGでは「iBankプロジェクト」を立ち上げ、従来ビジネスとは非連続な領域への取り組みにチャレンジしてきた。社内ベンチャーとしてiBankマーケティングという会社も設立し、スマートフォン用アプリケーションの開発などに取り組んでいる。

 iBankプロジェクトで実感したのは、銀行員の発想だけではイノベーティブなものは生まれないことや、既存のネットワークだけでは必要な人・技術・企業が見つからないことだ。ITに関しても、社内のIT部門や、その先にいるIT企業が扱っている領域とは異なっている。ここを解消するための現実の“場”がDIAGONAL RUN TOKYOになる。

−−利用状況はどうか。

 ここDIAGONAL RUN TOKYOには、「BASE」「LINK」「COMMUNITY」の3つの機能を持たせている(写真2)。BASEは、地方の企業やスタートアップが東京進出する際の“前線基地”という意味。LINKは、人と人、地方と東京、大企業とベンチャー企業を“結びつける”ということだ。COMMUNITYは、オープンイノベーションを創出する人や情報が集まり交流する場所を意味する。

写真2:バーコーナもあるDIAGONAL RUN TOKYOのコワーキングスペース写真2:バーコーナもあるDIAGONAL RUN TOKYOのコワーキングスペース
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 2017年7月時点の入居率は、全体で120席あるうちの3分の1程度。地方から進出してきた企業やフリーランスのほか、東京のベンチャー企業やスタートアップ企業など入居している。だが、予想外に大手企業の入居もあった。大手企業はDIAGONALをサテライトオフィスに位置づけ従業員に提供している。

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