[イベントレポート]

デザインシンキングで訪日観光客を倍増せよ! ──SAPジャパンと在サンフランシスコ総領事館が挑んだ官民連携プロジェクト

2017年9月19日(火)五味 明子(ITジャーナリスト)

Appleの新型iPhoneのニュースに沸いた2017年9月第3週、Apple本社と同じベイエリアにあるSAPのオフィスで、約40社/70名の日本企業からの参加者を対象にした、あるユニークなイベントが開催されていた。東京オリンピックが開催される2020年までに訪日観光客4000万人を目指すという日本政府のミッションを達成すべく、在サンフランシスコ日本国総領事館が主催し、SAPが支援した「Design Thinking x Japan - Re-imagine Japan Tourism」だ。本稿では9月12日~14日(米国時間)の3日間にわたって開催されたこのイベントの概要を紹介したい。

イノベーションの聖地から訪日観光客を呼び寄せるアイデアを創出する

 2020年までに訪日観光客の数を4000万人に伸ばす──。日本政府が掲げるこの数値目標は、現時点の訪日観光客のほぼ2倍に相当する。残された約3年の期間内にこのビジョンを達成すべく、現在さまざまな形でインバウンド振興策が進められているのは周知の通りだ。

 日本政府が主導するこの取り組みを、日本でビジネスを展開する外資系企業としても何か支援できないか。以前からそう考えていたというSAPジャパンが、在サンフランシスコ総領事館と共に企画したのが今回のイベント「Design Thinking x Japan - Re-imagine Japan Tourism」である。SAPがインメモリーデータベース「SAP HANA」を生み出した際にも用いられたイノベーションの手法「デザインシンキング(Design Thinking)」を活用し、イノベーションの“聖地”ともいえるシリコンバレーのオフィス(パロアルト/サンラモン)において、各国からの訪日観光客のニーズをこれまでにない発想のもとで探るというものだ。

 単にデザインシンキングというアプローチを当てはめてアイデア出しをするだけでなく、サンラモンのオフィス内にある「SAP Acadmy(以下、SAPアカデミー)」で研修する世界30カ国超/約160名のSAPの若手社員も参加し、訪日観光客が継続的に日本を訪れたくなるしくみを多様な視点から“デザイン”し、限られた時間内でプロトタイプを作成するところまで落とし込む。

 日本からの参加企業は初日(9/12)にSAP Labsでイノベーションとデザインシンキングをマシュマロチャレンジンなどの実践を交えながらじっくり学び、2日目(9/13)にはSAPアカデミーの研修生が日本の各地方ごとの魅力を分析するプロセスにアドバイザーとして参加する。そして3日目(9/14)はメインテーマである「How might we help the foreign tourists become addicted to Japan? - どうしたら外国人観光客に日本のとりこになってもらえるか」をデザインシンキングで掘り下げていく。

各チームに分かれて訪日観光客の視点に立った課題の掘り起こしを行っているところ。日本企業の参加者はアドバイザーとしてディスカッションに加わっている。チームの構成は性別や国籍などに多様性をもたせることもポイントの1つ
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 外国人の視点に立つ(共感)→潜在ニーズを探る(リフレーム)→解決策を探る→プロトタイプを作成するというフェーズを通して、新しい日本を発見するプロセスを、性別も人種も育った環境もまったく異なる160名の若者と共に経験していくのだ。今回の場合、参加人数が多いことからメインテーマをさらに3つのサブテーマ(日本に来たことがない外国人を魅了するには / 日本へのリピーターになってもらうには / 日本アンバサダーとして発信役になってもらうには)に切り分け、それぞれのサブテーマごとに課題を深掘りし、コンペティション形式で優勝チームを決定、優勝チームのメンバーには賞品として日本への旅行がプレゼントされる。

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