[事例ニュース]

機械学習で入院期間が半減、NECと医療法人社団KNIが12月から検証

2017年10月23日(月)日川 佳三(IT Leaders編集部)

 医療法人社団KNIとNECは2017年10月23日、人工知能(AI)を活用して医療の質向上と業務効率化を実現する“デジタルホスピタル”に向けた取り組みを開始したと発表した。まずは、機械学習によって、退院を遅らせる要因を改善したという。入院患者の不穏行動の予兆検知や退院先の予測に機械学習を活用する。KNIが2017年12月に開院する「北原リハビリテーション病院新棟」(八王子市)において検証する。NECは、数年以内の製品化を目指す。

図1●人工知能(AI)を活用して“デジタルホスピタル”を実現する(出所:NEC)図1●人工知能(AI)を活用して“デジタルホスピタル”を実現する(出所:NEC)
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 入院患者の退院を遅らせる要因を改善するため、機械学習を活用した2つのアプリケーションを開発した。(1)1つは、病院で日常的に収集している入院患者のバイタルデータから、徘徊などの不穏行動の予兆を検知できるようにした。(2)もう1つは、電子カルテの内容から、入院直後に退院先(自宅、回復期病院、療養病院など)を予測できるようにした。

 (1)で検知する不穏とは、入院患者による急性の錯乱状態のことである。不穏な状態になると、身体につないでいる管をいじったり、ベッドの柵を越えたり、病室を出て徘徊したりするようになる。KNIによると、不穏状態にある患者は、退院が約19日遅延する。さらに、医療スタッフの業務時間の26%が、問題行動への対応に充てられている。

 今回、KNIとNECは、日常的に収集しているバイタルデータを機械学習によって学習し、データの変化から不穏の予兆を検知するようにした。これまでの検証によると、不穏の予兆を平均して40分前に71%の確率で検知できたという。

図2●まずは、「不穏行動の予兆検知」と「退院先の予測」に機械学習を活用した(出所:NEC)図2●まずは、「不穏行動の予兆検知」と「退院先の予測」に機械学習を活用した(出所:NEC)
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 (2)では、入院患者の退院先を、入院直後に電子カルテの内容から予測できるようにする。退院先には、自宅、回復期病院、療養病院などがある。従来は、入院期間の半分が、治療後の退院待ちに充てられていた。治療が終わってから、退院先を調整していたからである。

 KNIとNECは、電子カルテを機械学習で学習することによって、入院翌日の電子カルテの内容から退院先を予測できるようにした。84%の精度で予測できたという。入院直後に退院先が分かると、治療中に退院先を調整できるようになる。これにより、在院日数は従来の25.5日から11.2日へと半減した。退院待ちが解消されたことで、新規の入院患者数を42人から79人へと倍増させることができた。

写真1●NECのデータサイエンス研究所で所長を務める山田昭雄氏(写真左)、医療法人財団KNIで理事長を務める北原茂実氏(写真中央)、NECで執行役員常務を務める中俣力氏(写真右)写真1●NECのデータサイエンス研究所で所長を務める山田昭雄氏(写真左)、医療法人財団KNIで理事長を務める北原茂実氏(写真中央)、NECで執行役員常務を務める中俣力氏(写真右)
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 今回取り組んだ2つのアプリケーションは、いずれも退院を遅らせる要因を改善する取り組みである。KNIとNECは、これ以外にも、医療の問題を解決するアプリケーションの開発を進める。いっそうの少子高齢化社会の到来に向けて、医療費を削減していくとしている。

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