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LoRaの中継機を3台使い北アルプス山中で4kmの通信に成功―ハタプロ

2017年12月26日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)

ハタプロは2017年12月26日、長野県大町市と共同で、LoRaWANの通信を複数の中継装置で中継する実験に成功したと発表した。これまで単一の送信機では伝送できなかった配水池の状況を、長距離にわたって伝送できたという。実験は、2017年秋季に北アルプスの山中で実施した。

写真1●実験の実施した北アルプスの山中(出所:ハタプロ)写真1●実験の実施した北アルプスの山中(出所:ハタプロ)
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 今回の実験は、IoT向け無線通信規格のうち免許が不要なLoRaWANを使いつつ、中継装置によって通信範囲を広げた事例である。LoRaWANの送信機と受信機に加えて、新たに3台のLoRaWAN中継装置を導入した。この結果、単一の通信機器であれば1キロメートル程度で通信が途切れてしまう環境でも、中継によって合計4キロメートル以上の伝送が可能になった。

図1●LoRaWAN中継機の実証実験の概要(出所:ハタプロ)図1●LoRaWAN中継機の実証実験の概要(出所:ハタプロ)
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写真2●実験の様子(出所:ハタプロ)写真2●実験の様子(出所:ハタプロ)
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 実験の実施場所は、長野県大町市の水道拠点施設で、北アルプスの山中である。実験エリアは冬季立ち入り禁止区域であり、これまでの通信方式では、受信機を立ち入り禁止区域内に置かざるを得なかった。今回実験した長距離伝送によって、立ち入り禁止区域の外まで伝送距離を延伸させることができた。

 実験を実施した山中は携帯電話が圏外だったが、最終受信ポイントは圏内だったという。このことから、将来はLoRaWAN受信機をLTEのような公衆無線通信網へと接続し、さらに遠隔でデータの確認を行うことも可能になるとしている。

 LoRaWANは、低消費電力と長距離伝送を特徴とするIoT向けの無線通信であるLPWA(Low Power Wide Area)のうち、免許が不要な920MHz帯域を使った規格の1つである。LPWAにはこのほか、LTEの帯域を使ったものなどもある。

 今回の実験は、ハタプロとNTTドコモによるジョイントベンチャー事業「39Meister」が実施した。39Meisterは、IoT製品の企画から量産までの事業化を支援している。また、LoRa Alliance加盟メンバーとして、日本国内におけるLPWAの発展をハードウェア面で後押ししているという。

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