[松岡功が選ぶ“見逃せない”ニュース]

2017年12月の3本:富士通とマイクロソフトがAI分野で協業/AI関連企業11社が「AIビジネス推進コンソーシアム」を設立/NEC、日立、富士通が共同でセキュリティ技術者育成へ

2018年1月10日(水)松岡 功(ジャーナリスト)

2017年12月のニュースから松岡功が選んだのは、「富士通とマイクロソフトがAI分野で協業」「AI関連企業11社が『AIビジネス推進コンソーシアム』を設立」「NEC、日立、富士通が共同でセキュリティ技術者育成へ」の3本である。“見逃せない”理由と共に、それぞれのニュースのポイントをお伝えする。

富士通とマイクロソフトがAI分野で協業

 富士通と米マイクロソフトが2017年12月22日、人工知能(AI)分野で協業することで合意したと発表した。「働き方改革」をテーマに、SaaS型サービス「Microsoft 365」と富士通のAI基盤「FUJITSU Human Centric AI Zinrai」(以下、Zinrai)、IaaS/PaaS型サービス「Microsoft Azure」(以下、Azure)上で提供されるAI基盤サービスなどを組み合わせた新たなソリューションを共同で開発し、2018年4-6月に国内でサービスを提供開始し、順次グローバルに展開していく計画だ。(関連記事1参照)

 両社協業の発表に際し、富士通の香川進吾 執行役員専務/CTOは「今回のマイクロソフトとのAI分野での協業は、両社の関係を新たなフェーズに進化させ、Digital Co-creationの象徴的な成果となると確信している」、また米マイクロソフトのジャドソン・アルソフ ワールドワイドコマーシャルビジネス エグゼクティブバイスプジデントは「マイクロソフトのプロダクティビティ製品群と富士通の強みである業種ソリューションの専門知識を組み合わせることで、お客様がコラボレーションとクリエイティビティを推進するためのより多様な手段を手にすることができる」とのコメントを寄せている。

[選択理由]

 日米IT大手の協業で、国内でのAI活用が一層促進されるとみられるからだ。両社協業の大きなポイントは、富士通のZinraiがマイクロソフトのAzureを通じて利用できるようになることだ。これにより、富士通はZinraiとマイクロソフトのAI基盤やMicrosoft 365との連携を緊密に図っていくことができるとともに、グローバルなビジネス展開への大きな足がかりになる。一方、マイクロソフトにとってはAzureの適用範囲が広がるとともに、日本でさらに働き方改革を推進するパワーになるはずだ。

 とくに富士通は両社協業の背景として、同社が働き方改革をテーマとしてグローバル全従業員約16万人を対象に、マイクロソフトのOffice 365をベースとする統一コミュニケーション基盤を導入するとともに、その社内実践で得た知見やノウハウを生かして、国内約150万人の顧客にグローバルコミュニケーション基盤を提供してきた経緯がある。

 今回のAI協業はその延長線上にあることから、こうした働き方改革へのソリューションの提供を一気に加速し、2018年度の事業戦略の目玉としてぶち上げたかったのだろうと推察できる。

AI関連企業11社が「AIビジネス推進コンソーシアム」設立

 AIのビジネス活用を推進する国内企業11社が2017年12月13日、「AIビジネス推進コンソーシアム」を設立したと発表した。AIを社会に役立て、ビジネスや研究活動を活性化・推進することを目的とし、「国内のAIサービスの開発力強化と産業界へのAI適用の加速を目指す」としている。

 設立当初の参加企業は、伊藤忠商事、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、OSIsoft Japan、グリッド、zero to one、TIS、富士通、丸紅、丸紅情報システムズ、三井情報、三井物産の11社。CTC、グリッド、TIS、富士通が運営理事に就いた。(写真)

(写真)参加企業の代表者。前列左から、CTCの西崎学ITサービスグループ製品・保守サービス本部長、TISの松尾秀彦常務執行役員、富士通の中条薫AIサービス事業本部長、伊藤忠商事の堀内真人 情報産業ビジネス部長、丸紅の株本幸二 執行役員情報・物流・ヘルスケア本部長、三井物産の齋藤正記 執行役員ICT事業本部長。後列左から、グリッドの曽我部氏、OSIsoft Japanの黒塚明彦 代表、zero to oneの竹川隆司 代表取締役CEO、丸紅情報システムズの渡邊亮一 代表取締役副社長、三井情報の人見秀之 取締役技術管掌役員
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 今回の動きの仕掛け人となったグリッドは、機械学習・深層学習のフレームワーク「ReNom(リノーム)」を開発し、提供している日本有数のAIベンチャー企業と目されており、同社がReNomで蓄積してきた知見やノウハウを公開している活動が、本コンソーシアム設立のきっかけとなっている。

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