[市場動向]

「日本の学生は自らを創造的だと認識していない」、アドビと慶應大学が人材育成で協調

2018年1月16日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)

アドビシステムズは2018年1月16日、創造的な人材に関するアンケート調査結果をもとに、高校や大学における情報教育の重要性を説いた。デジタル変革が加速する現代においては、特に情報教育において、Adobe Creative Cloudに代表されるクリエイティブツールを活用して「創造性(クリエイティビティ)」を育成する重要性が高まっているという。

 アドビシステムズが2017年6月に発表した調査「日本のZ世代に関する意識調査」によると、12歳から18歳までの日本のZ世代は、他国の同世代と比較して、自分たちを「創造的」だと認識していない。自分を創造的であると答えた日本のZ世代は8%しかいない。米国(47%)やドイツ(44%)と大きく異なっている。Z世代の生徒が創造的であると答えた日本の教師も2%だけである。

図1●「日本のZ世代に関する意識調査」と他国の比較。12歳から18歳までの日本のZ世代は、他国の同世代と比較して、自分たちを「創造的」だと認識していない。自分を創造的であると答えた日本のZ世代は8%しかいない(出所:アドビシステムズ)図1●「日本のZ世代に関する意識調査」と他国の比較。12歳から18歳までの日本のZ世代は、他国の同世代と比較して、自分たちを「創造的」だと認識していない。自分を創造的であると答えた日本のZ世代は8%しかいない(出所:アドビシステムズ)
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 卒業後の将来について考えた時の気持ちについて項目を選択してもらった結果では、日本のZ世代は1位が「不安な気持ち」(53%)となった。一方、米国の1位は「ワクワクした気持ち」(59%)、ドイツの1位は「自信のある気持ち」(50%)である。他国のZ世代とは対照的な結果となった。

 また、2018年1月11日に発表した調査「学校現場における『創造的問題解決能力』育成に関する調査」においては、日本の教員の約7割が「創造的問題解決能力」を育成するためのツールや知識習得機会が十分に得られていないと回答した。教員の約8割、教育政策関係者の約9割が、「創造的問題解決能力」を育成する授業を学校現場に取り入れる方法や、関連する教育課程の改訂について検討の余地があると回答した。

 アドビシステムズでは、こうした学校現場における課題に応えるべく、子供たちの「創造性」の育成を支援し、教育現場で求められる「創造的問題解決能力」を育成する機会とツールを提供するため、 高大連携教育ワーキンググループにおける「授業レシピ」の開発に参画した。こうした活動によって、子供たちに「自分は創造的であること」と「高度情報社会の一員になる力があること」に気付いてもらう必要があるとしている。

 今回アドビシステムズが参画した高大連携教育ワーキンググループとは、慶應義塾大学SFC研究所 ファブ地球社会コンソーシアム内のワーキンググループの1つで、創造的人材育成のテーマに掲げている。創造的人材育成を促進するための、高校および大学向けの情報授業のレシピ「授業レシピ」を開発しており、これにアドビシステムズが参画した。

 「授業レシピ」は、大学生向けの授業案と高校生向けのワークショッププログラムの合計2種類で構成する。慶應義塾大学と一般社団法人WebDINO Japanが開発したモノづくりレシピ共有サービス「Fabble」を通じて1月16日から入手できる。誰でも無償で利用できる。アドビシステムズは、自社が運営する教育者コミュニティ「Adobe Education Exchange」を通じて、Adobe Creative Cloudを導入している大学および高校に対する「授業レシピ」の実践を促進するとともに、「授業レシピ」を開発する教員に対し研修会を実施する。

 慶應義塾大学SFC研究所 ファブ地球社会コンソーシアムは、これまでのような大量生産型のモノつくりではなく3Dプリンタやプログラミングなどを駆使して小規模にモノをつくり出せる社会や、モノを輸送しなくても設計データをネット経由で送信すればモノを届けられる社会などを、「ファブ地球社会」と規定している。2010年頃にはまだ「未来のビジョン」に過ぎなかったが、今では日々進行形で現実化してきているとしている。

写真1●慶應義塾大学SFC研究所所員/一般社団法人 国際STEM学習協会代表理事の渡辺ゆうか氏、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科委員長/環境情報学部教授の村井純氏、アドビシステムズ代表取締役社長の佐分利 ユージン氏、奈良県立教育研究所副所長の石井宏典氏写真1●慶應義塾大学SFC研究所所員/一般社団法人 国際STEM学習協会代表理事の渡辺ゆうか氏、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科委員長/環境情報学部教授の村井純氏、アドビシステムズ代表取締役社長の佐分利 ユージン氏、奈良県立教育研究所副所長の石井宏典氏
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