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[市場動向]

NTTの経営可視化の取り組みが大賞に─日本データマネジメント・コンソーシアムが受賞企業を発表

データマネジメント2018で受賞企業が講演

2018年3月1日(木)川上 潤司(IT Leaders編集部)

日本データマネジメント・コンソーシアム(JDMC、栗島聡会長)は2018年3月1日、他の模範となるデータマネジメント活動を実践している企業・組織を表彰する「データマネジメント賞」の受賞者を発表した。その顔ぶれと、取り組み概要を紹介する。

 日本データマネジメント・コンソーシアム(JDMC、栗島聡会長)は、他の模範となるデータマネジメント活動を実践している企業・組織を表彰するデータマネジメント賞の受賞者を発表した(表)。大賞を受賞したNTT(日本電信電話)のほか、村田製作所、新日鐵住金、京都外国語大学、きゅうり農家/組み込みエンジニアの小池誠氏、金融EDI における商流情報等のあり方検討会(事務局は経済産業省・中小企業庁)が、それぞれ部門賞を受賞した。 

表 2018年度データマネジメント賞の受賞一覧
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 大賞となったNTTの取り組みは、経営の可視化や意思決定の迅速化に向けたグループ横断でのデータ(コード)の標準化・共通化。従業員総数24万人以上、連結子会社900社強という巨大企業であるNTTグループでは、ご多分に漏れず財務情報や人材情報、取引先情報、顧客情報などを各社が個別に管理、蓄積してきた。このためデータの形式やコード体系はバラバラで、例えばグループ横断で経営実態を見ることも、データ活用もできない状態だった。

 そこで2015年秋に問題の解決に着手。例えば企業情報や社員情報については、グループ共通のIDを付与し、各社が持つマスターデータのキーコードとマッピングする形で、横串をさせるようにした。既存システムの改修やコードの置き換えをしなくても横断検索や分析をできるようにしたわけだ。データの鮮度や精度、一貫性を維持するための専門組織「コードメンテナンスセンター」も設置済みである。データの粒度の整理やデータ分析と活用の高度化などの取り組みは現在も進行中であり、取り組みが完了したわけではないが、JDMCでは「多種多様なデータマッピングやコード変換を伴う困難な取り組みであり(中略)多くの企業の範となる」と評価している。

 村田製作所は、データ統合賞を受賞。JDMCでは、同社が20年以上前からデータの蓄積と活用に取り組んできた事実や全社員に向けたデータマイニング教育の実施、およびIoTのデータを統合・活用して品質・歩留まりの改善で成果を上げている点などを評価した。新日鐵住金(データ基盤賞)については、12拠点ある製造拠点における生産プロセスのシステム刷新の取り組みに関わるデータ整備に着目。具体的には、拠点毎に異なっていた業務用語や取引先/製品マスターなどをあらかじめ洗い出して統一。結果として生産プロセスのシステム刷新をスムーズに実施することに貢献したというものだ。地味だが確かに重要な取り組みである。

 京都外国語大学の受賞理由は、大学における研究や教育活動、財務や社会貢献などの諸活動に関する情報収集・調査活動「IR(Institutional Research)」に向けたシステム環境の整備。データ連携ツールやオープンソースのDBMS、オープンソースBIツールなどを活用した。一方、きゅうり農家/組み込みエンジニアの小池誠氏は個人の受賞。組み込みエンジニアだった小池氏は、家業であるきゅうり農家で働く中で母親が仕分け作業に多大な労力を費やしていることに気づく。収穫したきゅうりを9段階に選別する作業を手作業で、しかも1人で行っていたのだ。そこで小池氏は深層学習フレームワーク「TensorFlow」と安価なハードウェア「Raspberry Pi」を使い、自動仕分けする仕組みを作った。

 もう1つの特別賞「中小企業のための金融EDI の取り組み」は、今なお電話やファクスが多い中小企業の取引をEDI化するための検討会が受賞。中小企業では、取引先との受発注や金融機関への融資の申し込みや支払い処理などに手書きの伝票を使うケースが依然主流であり、過去の取引データを探すだけでも大きな負担がかかっている。FinTechなどの技術からは縁遠い状況にあるわけだ。こうした問題を解消するのが検討会の目的であり、IT企業や中小企業、業界団体などが委員として参加し、事務局を経済産業省・中小企業庁が務めている。

 JDMCは2014年から毎年、他の模範となる取り組みをした企業・組織を表彰しており、今回は5回目。過去には大阪ガス、小松製作所、三越伊勢丹ホールディングス、セブン&アイ・ホールディングス、日本たばこ産業が大賞を受賞した。なお今回の受賞企業のうちNTT、村田製作所、小池誠氏は3月7日にJDMCが開催する「データマネジメント2018(http://www.seminar-reg.jp/jdmc/dm2018/)」での講演が予定されている。

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