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[データマネジメント2018]

基軸となるデータを見ずに何を見る? AIを始めとした過剰なツール信仰が招いたデータ活用の失敗例

2018年4月10日(火)

BIやAIなどのツールを導入してデータ分析を行うとしても、思うような成果が得られなかったという声は少なくない。データマネジメントの不備がそうした問題を引き起こしているケースがあるからだ。そうした問題を解決するためには、今一度、あるべきデータの形、運用を見つめ直し、「使える」データを作り上げる必要がある。データマネジメントの専門会社であるリアライズの櫻井崇氏は、3月7日に行われた「データマネジメント2018 ~データが拓く無限の可能性~」の中で、企業が陥りやすいデータ活用の失敗事例を紹介するとともに、成功へ向けて企業は何をすべきか解説した。

ツールを導入する前に、まずは中身のデータを整える

リアライズ 取締役 櫻井崇氏

 「データ活用に際しては、BI等のツールを導入するだけでなく、その中身となるデータを整えることが重要、と以前から繰り返し指摘してきたが、今もなお、『基軸となるデータが活用できる状態となっておらず、困っている』という企業の声は後を絶たない」とリアライズ 取締役の櫻井崇氏は訴える。同氏によれば、BIツールによるデータ分析や、AIを用いた特定業務の自動化を図ろうとしても、肝心のデータが足を引っ張っているケースが多いのだという。

 「業務データをどれだけ蓄積しても、また、BIツールやAIによる機械学習の仕組みを導入したとしても、データ分析のための単位、基軸の設定、および、しっかりしたデータ管理を行っていなければ、正しい分析は行えない」(櫻井氏)。

データマネジメントの不備により、システム稼働後に数々の問題が浮上

 そうした昨今のデータ活用にまつわる問題について櫻井氏は、データマネジメントに関する数多くのプロジェクトを手掛けてきた経験に基づき、陥りやすいデータ活用の失敗事例を紹介した。

 1つ目は、グローバルを通じたパッケージ導入により、人事や輸出入、受発注といった基幹系システムを共通化した事例である。既にシステム開発は終了し、運用も開始されているが、データの不備に基づく問題が噴出、システムを稼働させながらデータを修正し、事態の収拾を図りたいという相談がリアライズに寄せられた。

 新システムの導入前にデータ調査をすべきだったが、エンドユーザー側にデータを熟知した“生き字引き”のような担当がいたため、フォローを行わずにプロジェクトを進めてしまっていたという。「開発が終了し、運用が開始されているシステムのデータを後から整備しようとするのは多大な労力と莫大なコストが発生する。また、作業手順のみならず、ガバナンスやルールの適用など、データに関する運用体制にも変更が生じてしまうおそれがある」と櫻井氏は語る。

 2つ目は、何のためにデータ分析をするのか、目的を明確化しないまま単にデータを蓄積、いざ分析に着手しようとしても「何をすればよいのか分からない」ケースである。

 専用のストレージシステムを導入し、とりあえずデータを蓄積し続けてきたものの、ユーザーの取締役から“このゴミ箱はいつ役に立つのか”と指摘され、慌てて成果を出そうとデータ分析に着手しようとしていた様子が伺えたという。「そもそも最重要のデータが見定められていないどころか、データ蓄積の目的も“これから考える”という状況だった。これはまったく順番が逆。予算もほとんど使い切っていたことから、我々も手が出すことができなかった」と櫻井氏は嘆く。

 3つ目は、AIによる機械学習を導入し、FAQの自動化を行おうとした事例である。商品に関する問い合わせ対応業務を効率化する一環としてFAQ自動化に取り組むこととなり、AIを先行導入。しかし、データを投入してみたところ、97%以上の確率で間違った判定が出てくるなど、期待したような成果が得られなかったという。

 そこで、リアライズ側にデータクレンジングの依頼が寄せられたのだが、「商品のラインナップは1,000点~10万点以上で、データもExcelにメモが残してあるほか、メールの中に埋もれているものもあり、その両方からデータを抜いて正解データを作らないといけない状況だった」(櫻井氏)という。

 そもそも数万点におよぶ商品1つ1つに対してFAQを作成するのは非常に困難であり、かつ、そのためのデータをAIに作らせるのはほとんど不可能といってよい。つまり、AIも万能ではなく、その特性に応じて合わせたデータの整備と選択、および活用の方法を峻別しなければならないのだが、その工程を行わず、多大な投資をしてAIを先行導入してしまっていたという。

社内データの状態を見定めることが活用の第一歩
上位層ほどデータを知る必要あり

 櫻井氏はこれまで紹介した事例を総括しつつ、「誤ったデータによって正しい処理(判断)が破壊されている。正しいデータ、正しい処理による、正しい結果が見えなくなっており、原因の切り分けも複雑化している」と語る。

肝いりで導入したITツールがビジネスに活用できない
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 データ分析が行えない原因は、蓄積している業務データの中身がよくわかっておらず、そもそも集計軸すら満足に設定できてないことにある。その結果、せっかく肝いりで導入したITツールなのに、ビジネスに活用できないと嘆く企業は少なくないというのだ。

 「データマネジメントは、現実のビジネスデータをしっかり見なければならない。したがって、面倒がらず、最初から詳しく話を詰めていかなければならない。また、職位上位者ほど、データの状態を見たこともないのにまともな分析ができないとこぼす。職位上位者の方は、まずは既存のデータの状態を見るということから始めて頂きたい」(櫻井氏)。

 さらに櫻井氏は、「今やデータと情報を認識し、データに着目しないといけない時代を迎えている」と強調する。つまり、情報(物事の事情を人に伝えるもの)と、データ(人にとって意味を成さないもの)を認識した上で、巷に溢れかえるデータに着目し、その組み合わせによって、新たな事情を人に伝えることに価値が生まれる時代を迎えているのだ。


●お問い合わせ先

株式会社リアライズ
URL:https://www.realize-corp.jp/
TEL:03-6734-9888
E-mail:sales@realize-corp.jp
 

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