[市場動向]

日立、動いている搬送台車から商品をピッキングする技術を開発

2018年5月28日(月)日川 佳三(IT Leaders編集部)

日立製作所は2018年5月28日、複数のAIを協調させて制御することによってピッキング作業を効率化する技術を開発したと発表した。ピッキング用ロボットと、自律走行する搬送台車を、統合的に制御する仕組み。これにより、搬送台車に積まれた商品群の中から、指定の商品をスムーズに取り出せるようにする。

図1●複数のAIを協調制御する処理のイメージ(出所:日立製作所)図1●複数のAIを協調制御する処理のイメージ(出所:日立製作所)
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 カメラの画像から、取り出す商品と、その最適なピッキング方法を、AIを使って判断する。この下で、ピッキング用ロボットを制御するAIと、搬送台車を制御するAIを、リアルタイムに統合管理し、協調制御する。

 協調制御によって、搬送台車とロボットアームは、商品の荷積み状態に応じて、最適な速度で互いに衝突することなく近づき、搬送台車の移動を止めることなく、スムーズに商品をピッキングできる。

 従来は、搬送台車を都度停止させてからピッキングを行っていた。日立製作所で新技術を実験した結果、0.5メートル毎秒で走行する搬送台車を停止させることなく商品をピッキングできた。従来の方法では13秒かかっていた作業時間が、本技術を活用した場合は8秒と、38%高速化できた。

カメラ画像からピッキング方法を判断し、アームと台車を協調制御

 開発した技術の特徴は大きく2つある。1つは、カメラ画像から最適なピッキング方法を判断する技術である。商品の荷積み状態に応じて、ピッキング用ロボットが取り出し可能な商品の位置や、搬送台車の速度調整量を判断する。

 事前にピッキング対象の商品の3Dデータを入力することで、さまざまな移動速度で運ばれる商品の荷積み状態をランダムに発生させ、ロボットアームによる数万通りのピッキング動作をシミュレーションする。シミュレーション結果を利用して画像解析処理のための教師データを自動生成し、ディープラーニングで学習する。実際にピッキング作業を行いながら学習する必要がない。

 特徴の2つめは、複数のAIをリアルタイムに協調制御させる技術である。ピッキング用ロボットを制御するAIに対しては、取り出す商品の位置情報に基づいて算出したアーム動作を指示する。一方、搬送台車を制御するAIに対しては、現在の移動速度をもとに減速や加速を指示する。

 ピッキング用ロボットのAIは、搬送台車の速度や位置をリアルタイムに確認し、ケースや他の商品に衝突しないようにアーム動作の微修正を行う。これにより、搬送台車を停止させることなく、効率的にピッキングできる。

物流倉庫のピッキング時間短縮が課題に

 今回の技術を開発した背景には、物流倉庫において、膨大な種類と数の商品在庫の中から注文に応じた商品を集めるピッキング作業が大量に発生しているという状況がある。作業の自動化と効率化が求められている。

 ピッキング作業を支援するために商品を棚・ケースごと運ぶ搬送台車は、既に実用化されている。現在は、ケースから商品を取り出すピッキング用ロボットと搬送台車を組み合わせたシステムの開発が進められている。

 しかし、ケース内の商品の荷積み状態は、搬送やピッキング作業によって崩れて複雑になるため、ロボットの制御は困難であり、ピッキング作業を行う前に搬送台車を静止させる必要があった。このため、搬送台車の停止時間がロスとなり、効率的なシステムを構築することが困難だった。

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