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既存企業と“ディスラプター”のクラウド活用の違いとは?―日本IBMが示すクラウド活用のロードマップ

2018年6月20日(水)

デジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)の実現にあたって、企業は「クラウドネイティブ」の価値を正しくとらえたうえで、コンテナ、マイクロサービスといった俊敏なアプリケーション開発アプローチに取り組む必要がある。2018年5月25日に開催されたIT Leadersフォーラム「アジャイル経営を支えるDX時代のインフラ戦略―クラウドネイティブ企業へ進化するためのロードマップ―」に、日本IBM クラウド事業本部 エグゼクティブ・アーキテクトの渡邉周一氏が登壇。「Journey to Cloud」と題した講演で、DX時代のクラウド活用の道筋を示した。

企業が目指すべき「ハイブリッドIT」の姿とは

日本IBM クラウド事業本部 エグゼクティブ・アーキテクト 渡邉周一氏

 デジタル変革に向けた取り組みが活発化するなか、既存のIT基盤やアプリケーション基盤をクラウド化したり、マイクロサービスとして作り変えたりする動きが進んでいる。これらにより、基幹システムとクラウドサービスとの間でデータ連携を実現したり、新しいビジネスの要求に対して迅速に対応したりできるようになる。

 ただ、これらの取り組みは、オンプレミスIT環境を構築・運用し続けてきたほとんどの企業にとってははじめての経験だ。どのような考え方のもと、どう取り組みを進めていけばよいのか。日本IBM クラウド事業本部 エグゼクティブ・アーキテクトの渡邉周一氏はまず、デジタル変革のカギの1つにはテクノロジーがあるとし、デジタル変革で先行する“ディスラプター”(画期的なビジネスを投入し、既存市場を破壊する勢いでシェアを奪う企業)を例にこう切り出した。

 「これまではビジネスを実現するためにテクノロジーが存在するというケースが多かったと思います。しかし、デジタル変革の取り組みでは、テクノロジーそのものによってビジネスが生み出されるケースが増えています。ウーバー(Uber)やエアビーアンドビー(Airbnb)の事例からもわかるように、クラウドに代表されるテクノロジーを主軸として、新しいビジネス開発を行ったものこそディスラプターになっています」(渡邉氏)

今後のクラウドサービス活用
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 既存企業とディスラプターでは、クラウドの活用の仕方に違いがある。ディスラプターにとってのクラウド活用は、もともとクラウドにあるものを組み合わせることが中心だ。だが、日本の多くの企業にとってクラウド活用はオンプレミスからIaaSへの移行が中心だ。そのうえで、社内のプロセスやデータをクラウド化して、AI(人工知能)などを使って知見を得たり、そこで得られた知見を社内だけでなく、外部向けにAPIなどで公開して、他社と協業できるエコシステムを形成したりする。

 「IBMでは、記録のためのシステムをSoR(System of Record)、エンゲージメントのためのシステムをSoE(System of Engagement)に分け、ハイブリッドなかたちで取り組みを推進していくことを提案しています。両者のシステムに共通するのはデータ。データをどのようなかたちでファイアウォールを超えてクラウド側のSoEに持っていくかが大きな課題です」(渡邉氏)

 デジタル変革のために、既存の大規模ITインフラのすべてをクラウドに移行するのは現実的ではない。SoE、SoRをハイブリッドなかたちで構築・運用することが、企業が目指すべき現実解と言える。

デザイン思考、アジャイル開発、マイクロサービスを実践する

 企業がデジタル変革の取り組みを実践できるよう、IBMでは、さまざまな方法論やアプローチを提案・提供している。

 例えば、クラウドネイティブやデジタルの時代に有用な方法論で、デザイン思考やアジャイル開発がよく挙げられる。渡邉氏は、デザイン思考の一例として、絵や図を用いて思考やアイデアを表現する「ビジュアルシンキング」という手法を紹介した。これは、Amazon.comのジェフ・ベゾス氏が創業時にビジネスモデルをレストランの紙ナプキンの裏に描いて示した“Back of Napkin”がよく知られている。IBMでは、こうしたデザイン思考を実践できるソリューション「IBM Cloud Garage」の提供を行う。

イノベーションを促進するアジャイル開発手法
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 また、アジャイル開発については、具体的な開発手法を7つのステップにまとめ、企業が実践しやすいように提供する。IBMの経験、知見、手法を包括的に提供できることが大きな特徴だ。

  • プロジェクトを立案する「THINK」
  • 計画を実行して見直す「CODE」
  • フィードバックをまわしていく「LEARN」
  • 必要なITを整備する「DELIVER」「RUN」「MANAGE」
  • アジャイルの文化を醸成する「CULTURE」
アジャイル開発手法におけるIBMの経験・知見・手法の提供
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 デザイン思考やアジャイル開発は、クラウドネイティブな開発では欠かせない取り組みの1つだ。一方、既存のIT基盤をクラウド化していく際には、モノリシックなアプリケーションをマイクロサービスアプリケーションに更新していくことがポイントとなる。

「モノリシックなアプリケーションとは、大きな少数のサーバーが密結合し、長期にわたるプロジェクトで数年に一度更新していくようなアプリケーションです。これに対し、マイクロサービスアプリケーションは、小さな多数のアプリケーションが疎結合し、ベータ版から公開して短期・頻繁に更新を行っていきます。こうしたアーキテクチャを備えることで、クラウドサービスとのデータ連携やAPI公開など、デジタル変革に適したIT基盤としてシステム全体を更新していくことができます」(渡邉氏)

従来のアーキテクチャとの比較
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 マイクロサービスに最適な実行環境がコンテナだ。コンテナは、仮想サーバーのようにインスタンスを立ち上げるたびにCPUやメモリなどのリソースを必要とするのではなく、1つ1つが軽量なプロセスとして動作する。同じコンテナ環境であれば、ハードウェアやベンダーに関わらず稼働することが可能で、可搬性も高い。

 マイクロサービス/コンテナの主流技術であるDockerやKubernetesを推進するのがCNCF(Cloud Native Computing Foundation)という業界団体だ。IBMは、クラウドネイティブの定義も行った同団体を初期段階から支え、発展に寄与してきた。IBM Watsonがコンテナ環境で動作するなど、実環境での運用にも高い実績を持っている。また、Db2やWebSphere Application Server、MQやモニタリングなどIBMのあらゆるミドルウェアはすでにコンテナ上での稼働をサポートしている。

クラウドネイティブ開発、運用を包括的に支援する「IBM Cloud Private」

 そのうえで渡邉氏は、さまざまな顧客事例を紹介しながら、デジタル変革をするうえでのポイントとIBMのソリューションを解説していった。

 顧客事例としては、ある国内企業の“失敗事例”がある。この企業では、アジャイルの取り組みを積極的に進め、技術やノウハウの点では、これまでにないほどスピーディーで柔軟に開発が実践できるようになった。しかし、最終的にプロダクトをリリースするまでの期間は従来とほとんど変わらなかったという。問題は、申請や認可のプロセスがこれまでと変わらなかったことだ。「アジャイル開発では、会社全体の仕組みとして実践することが重要」(渡邉氏)ということだ。

 また、ディスラプターに市場を破壊された後、自らもディスラプターになることで復活を遂げた顧客事例として、米国のレンタカー大手ハーツ(The Hertz Corporation)を紹介した。カーシェアリングサービスの登場で大打撃を受けた同社は、「次の100年を見据えた改革に取り組む」ことを掲げ、IT基盤の刷新や新しいクラウドサービスの開発に取り組んだ。そこで活用されたのが、IBMのアジャイルの方法論やIT基盤/アプリケーション基盤だ。CI(継続的インテグレーション)/CD(継続的デリバリ)といったDevOpsの手法やアジャイル開発、マイクロサービスなどを駆使して、ハイブリッド、マルチクラウド時代に対応できる柔軟な基盤を構築した。

 IBMのソリューションで注目できるのは、パブリッククラウドとまったく同じ環境をファイアウォールで保護されたオンプレミスのデータセンターに、プライベートクラウド環境として構築できる「IBM Cloud Private」だ。

 IBM Cloud Privateでは、オープンテクノロジーをベースに企業の次世代システム基盤に必要となる技術を統合して提供される。具体的には、基盤としての「コンテナ/Kubernetes」、ミドルウェアとしての「IBMミドルウェア/OSS」、管理や自動化のための「IBM Cloud Automation」、DevOpsを実践するための「DevOpsツールチェーン」、「運用管理/課金」のための機能、権限管理やデータ保護などの「セキュリティ」という6つで構成されている。

 IBM Cloud Privateの提供は2017年11月からだが、すでにハーツをはじめとして多くの企業がデジタル変革を推進する基盤として活用しているという。

Cloud Native 開発・運用を包括的に実現する「IBM Cloud Private」
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 最後に渡邉氏は「IBMのテクノロジー、ノウハウ、実績で、企業のクラウドネイティブ開発、運用を包括的に支援していきます」と話し、講演を締めくくった。


●お問い合わせ先

日本アイ・ビー・エム株式会社

E-mail:http://ibm.biz/cloudsw
URL:https://www.ibm.com/cloud-computing/jp-ja/icp/

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