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F5、アプリごとの多数配備に向く仮想版ADC新シリーズ「BIG-IP Cloud Edition」

2018年7月11日(水)日川 佳三(IT Leaders編集部)

F5ネットワークスジャパンは2018年7月11日、負荷分散装置「BIG-IPシリーズ」のうち、クラウド上での運用に適した仮想アプライアンス版のラインアップを拡充し、更新頻度が高いWebアプリケーションに適した新製品「BIG-IP Cloud Edition」を発表、同日販売を開始した。多数の負荷分散装置を導入するケースにおいて、既存製品よりも安価に導入できるとしている。

 F5ネットワークスジャパンの「BIG-IP Cloud Edition」は、仮想アプライアンス型の負荷分散装置の新製品である。同社では以前から仮想アプライアンス型の負荷分散装置「BIG-IP Virtual Edition」を提供してきたが、今回のBIG-IP Cloud Editionは、既存のBIG-IP製品群とは位置づけが異なる。

図1:BIG-IP Cloud Editionは、多数導入時に既存のBIG-IP Virtual Editionよりも安価に利用できる。負荷分散装置を2層で使うアーキテクチャが前提となる(出典:F5ネットワークスジャパン)図1:BIG-IP Cloud Editionは、多数導入時に既存のBIG-IP Virtual Editionよりも安価に利用できる。負荷分散装置を2層で使うアーキテクチャが前提となる(出典:F5ネットワークスジャパン)
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 BIG-IP Cloud Editionは、負荷分散装置を2層で使うアーキテクチャを前提に、多数のWebアプリケーションごとに多数の負荷分散装置を導入するケースにおいて、既存のBIG-IP製品群よりもコストを抑えて導入できる。最小構成は、負荷分散装置20台(20インスタンス)となる。

 基本ソフトの「TMOS」は、既存のBIG-IP製品群と共通であるため、機能面での違いはない。ただし、BIG-IP Cloud Editionでは、いくつかの制約がある。まず、用途が、LTM(負荷分散装置)とWAF(Webアプリケーションファイアウォール)の2つに限られる。拡張性については、負荷分散装置の台数を増やすスケールアウトを前提にしているため、帯域の選択肢が少ない(25Mbpsと200Mbpsの2つ)。

写真1:BIG-IP Cloud Editionのメリットについて説明する、F5ネットワークスジャパンでリージョナルマーケティングアーキテクト/エバンジェリストAPCJを務める野崎馨一郎氏写真:BIG-IP Cloud Editionのメリットについて説明する、F5ネットワークスジャパン リージョナルマーケティングアーキテクト/エバンジェリストAPCJ 野崎馨一郎氏
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 負荷分散装置を2層で使うアーキテクチャのメリットを挙げている。

 1つは、アプリケーションに依存しない負荷分散を「1層目」に任せて、アプリケーションに依存する負荷分散の設定を「2層目」に任せるという使い分けができることである。アプリケーションの更新頻度が高い場合に都合がよいとしている。アプリケーション担当者みずから、管理ツールを介して負荷分散装置の設定やWAFの設定を用意に反映できる。

 2層アーキテクチャにおける2層目の動きを紹介した。Webアプリケーションサーバーのインスタンスの台数は、アクセス負荷状況に応じて、Ansibleなどの構成管理ソフトを使って増減させる。

 2層目に置いた負荷分散装置は、こうして用意した複数台のWebアプリケーションサーバーにリクエストを割り振る。この際に、アクセス内容の可視化やセキュリティなども担う。

 一方、1層目の動きとして、2層目の負荷分散装置の負荷が大きくなったり帯域が足りなくなったりした場合に、BIG-IPの管理ソフトが、動的に2層目の負荷分散装置の台数を増やす。2層めの負荷分散装置のすべては、各々がWebアプリケーションサーバーの全インスタンスに負荷を割り振る形になる。

 1層目の負荷分散装置には、複数のWebアプリケーションが同居しても構わない。例えば、アプリケーションAのインスタンス群を集約する2層目の負荷分散装置であるA1とA2の2台と、アプリケーションBのインスタンス群を集約する2層目の負荷分散装置であるB1の1台を、共通の1層目の負荷分散装置に収容する。この場合、アプリケーションAに対するアクセスをA1またはA2へと引き渡す。

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