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NECなど、加古川市で都市の安全・安心を実現するスマートシティプロジェクトを推進

2018年7月19日(木)IT Leaders編集部

兵庫県加古川市、日建設計総合研究所、日建設計シビル、NEC、フューチャーリンクネットワーク、システムリサーチ、綜合警備保障は2018年7月18日、加古川市において都市の安全・安心を実現するスマートシティプロジェクトを推進すると発表した。官民連携見守りサービスなどを通じて「地域総がかりで見守る地域コミュニティ」を強化するとしている。

 兵庫県加古川市では、加古川市まち・ひと・しごと創生総合戦略に基づき「子育て世代に選ばれるまち」の実現に向けて、都市の安全・安心を柱とする情報通信技術利活用基盤を活用した取り組みを推進している。これにより、市民の満足度や生活の質(QOL)向上を目指し、地域課題の解決を図る。特に、安心して子育てを行う環境の整備や、高齢化社会に対応するため、地域総がかりで見守る地域コミュニティの強化に注力しているという。

図1●スマートシティプロジェクトの概要(出所:NEC)図1●スマートシティプロジェクトの全体像(出所:NEC)
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 まちの安全・安心の実現に向けて、市独自の先行事業(平成29・30年度の2カ年)として、通学路を中心に見守りカメラ・見守りサービス検知器を市内1500箇所に整備中だ。また、官民連携の取り組みとして、複数の見守りサービス事業者の見守りタグ(BLEタグ)の信号を受信できる、日本初の見守りサービス検知器も開発した。今後、これらの社会インフラを活用しつつ、子どもや行方不明のおそれのある高齢者などをはじめとして市民の暮らしを防犯設備面から支援する。

 今回、先行事業を受けて、(1)安全・安心分野での先行事業のサービス拡張、(2)それ以外の分野にも取り組みを拡大した。

 (1)では、市のスマートフォン向け公式アプリケーション「かこがわアプリ」の見守りタグ検知機能ならびに郵便車両に搭載したIoT機器を活用し、よりきめ細かい日本初の見守りサービスを導入した。

 (2)では、複数分野のデータを収集し分析などを行う基盤を整備し、行政情報ダッシュボードの公開による市保有データの可視化・共有化を実現した。今後は、有識者や民間事業者、見守り活動を行う市民ボランティアなどの多様な主体が参画できる体制を構築する予定だ。

複数ベンダーがプロジェクトを推進

 日建設計総合研究所は、これまで培ってきた都市デザインに係る知見やノウハウをベースに、国内外のスマートシティプロジェクトに携わっている。今回の事業では、日本初の官民連携見守りサービスの導入や、生活利便向上に資するプラットフォーム・関連システムの構築といった社会実装に特に焦点を当て、都市の付加価値向上を目指した。代表企業として事業の全体統括を行うとともに、市内事業者オープンデータニーズ調査等の各種調査より、加古川市におけるスマートシティの姿を検討した。また、アドバイザー会議での有識者(立命館大学・西尾信彦教授、立正大学・小宮信夫教授)の意見を事業に反映した。

 日建設計シビルは、安全・安心分野(防災、環境等)におけるシミュレーション解析やシステムデザイン・構築、都市・地域開発に係る知見を基に、プラットフォームと個別アプリケーションなどを有機的に連携させる全体システムデザインの検討・調整を行った。

 NECは、EUで開発・実装された基盤ソフトウェア「FIWARE」を活用したスマートシティ向け「データ利活用基盤サービス」を2018年4月より提供している。同サービスは、地域の活性化や安全・安心など都市の課題解決に向けて、都市や地域に分散している多様な分野・領域のデータ(防災、観光、交通、エネルギー、環境など)や、IoT技術などを活用して収集したデータをクラウド上に蓄積し、共有・分析・加工して提供するサービスである。

 加古川市では同サービスを2018年3月から先行して運用しており、加古川市が保有する防災関連施設や人口統計など各分野のオープンデータに加えて、かこバスの位置情報などのデータを蓄積して分析することで、ダッシュボードやバスロケーションステムなど地域課題解決に向けた新たなサービスの提供を推進している。

 フューチャーリンクネットワークは、地域に密着した情報を届ける地域情報基盤「まいぷれ」、自治体向けのアプリケーション・システム構築などを通じて、地域活性化を支援している。今回の事業では、安全・安心なまちづくりによる地域活性化の観点から、(1)かこがわアプリ、(2)行政情報ダッシュボードの構築を行った。

図2●緊急時における「かこがわアプリの見守り機能」活用イメージ(出所:NEC)図2●緊急時における「かこがわアプリの見守り機能」活用イメージ(出所:NEC)
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 (1)かこがわアプリでは、ユーザー登録された居住地域および現在地に応じて、緊急時に市からの重要なお知らせをプッシュ通知で受け取れる。さらに、複数の見守りサービス事業者の見守りタグの信号を受信できる。市民のスマートフォンが、見守りサービスの検知器として機能する。また、緊急時にエリアを絞ってプッシュ通知を行うことで、市民への効果的な情報提供・要請、より迅速な捜索への活用なども期待できる。

 (2)行政情報ダッシュボードは、基盤上に蓄積した「安全・安心をはじめとする複数分野のデータ」を地図上で重ねて閲覧できるウェブシステムだ。

 システムリサーチは、ネットワークシステムの企画・構築やアプリケーションソフトの設計開発をはじめとして自治体向けソリューションを手がけており、市民の声受付サービス「スマイルメールシステム」のサービスを提供している。今回の事業では、市民のユーザビリティ向上のため、スマートフォン対応および写真投稿の機能を追加し、同システムの機能拡張を図った。同サービスは、かこがわアプリを通じてスマートフォンからも連携できる。

図3●郵便バイクへのIoT機器取付け状況(出所:NEC)図3●郵便バイクへのIoT機器取付け状況(出所:NEC)
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 綜合警備保障は、国土交通省:H28スマートウェルネス住宅等推進事業に選定されるなど、IoT機器を活用した高齢者や子どもの見守り事業を積極的に展開・拡大している。それらの実績を基に、市の先行事業では、代表企業として平成30年度末までに見守りカメラ・見守りサービス検知器を市内1500カ所に整備予定で、順次稼働・運用を進めている。

 さらに、今回の事業では、加古川市と日本郵便との協定に基づき、加古川市内の郵便車両176台にIoT機器を搭載した。(1)道路保全のための画像撮影用カメラ、(2)よりきめ細かい見守りサービスの実現のための見守り共通検知器、(3)走行データ収集用通信機器、である。2018年秋には、NECの加古川管轄の営業車両にもIoT機器を搭載予定で、地域や行政、民間事業者とも連携しつつ、都市のセキュリティ向上を目指すという。

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