「CIO賢人倶楽部」は、企業における情報システムの取り込みの重要性に鑑みて、CIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)同士の意見交換や知見を共有し相互に支援しているコミュニティです。IT Leadersは、その趣旨に賛同し、オブザーバとして参加しています。同倶楽部のメンバーによるリレーコラムの転載許可をいただきました。順次、ご紹介していきます。今回は、株式会社ふくおかフィナンシャルグループでIT統括部 副部長を務める中村成太氏のオピニオンです。
人工知能(AI)の活用には、商品の購入履歴データを分析して顧客の好みを明らかにし、推奨する商品を案内する事業拡大を目指すようなものや、サーバーのログを分析してハードウェア障害の予兆を早期に検知するようなケースなど様々なものがあります。仮に前者を「攻めの活用」、後者を「守りの活用」とし、今回は「守りの活用」について考察してみます。
例えば、サーバー障害のアラームデータから優先対応すべきアラームの抽出と対応の優先順位を決めることに成功している事例、耐用年数に応じて交換する想定の部品について、監視カメラによる画像データを分析し、状態が良くない部品は早期に交換するようにして故障発生率を下げることに成功した事例などを聞いたことがあります。
ただし、AIが対応できるのはあくまで過去にあった事例。初めて発生したアラームの原因分析は人がやる必要があるはずですし、監視カメラのモニタリングでも100%とはいかず、良い状態だった部品が故障してしまう場合があります。その原因分析は人が行い、その結果を新しいデータとしてAIに学習させることで分析精度を向上することができます。つまりAIの分析精度を高めるためには、人が行った新しい分析結果をAIに追加するサイクルを常に回していくことが大切になります。
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