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日立が「情報銀行」の実証実験、東京海上日動や日本郵便などが参加

2018年9月10日(月)日川 佳三(IT Leaders編集部)

日立製作所、日立コンサルティング、インフォメティス、東京海上日動火災保険、日本郵便、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアムの5社は2018年9月10日、個人データを本人の管理の下で安全に活用する仕組みである「情報銀行」の実証実験を開始したと発表した。

 日立製作所、日立コンサルティング、インフォメティス、東京海上日動火災保険、日本郵便、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアムの5社は、「情報銀行」の実証実験を開始した。

 情報銀行は、個人データを本人の同意の下で安全に収集・管理・提供する仕組みを提供するサービス。個人データの所有者本人が指定した条件に基付いて、個人データを事業者に提供する。事業者は、受け取った個人データを活用して、個人のニーズに合ったサービスを提供する。

図1:情報銀行の実証実験のイメージ(出典:日立製作所)図1:情報銀行の実証実験のイメージ(出典:日立製作所)
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 情報銀行の仕組みが登場した背景について日立らは、スマートフォンの普及やオンラインサービスの進展によって、大量の個人データが生成されるようになったことを挙げる。「個人データは新たなビジネスやサービスを生み出す資源として注目されている一方で、データを利用するにあたっては安全性や透明性の確保が必要になる」という。

 データ利用の安全性・透明性を確保するため、情報銀行には、セキュリティ対策のほか、事業者によるデータの利用履歴を確認できる仕組みなどが求められる。情報銀行が担うべき役割や要件については、経済産業省と総務省が2018年6月に認定基準を公表している。このように、情報銀行の実現に向けた取り組みが進んでいる。

 今回の実証実験では、個人データの収集・管理・提供の仕組みや、個人データを活用したサービスの実現可能性を検証する。個人データとして、性別や世帯構成などの一般的な個人データのほか、各家庭の電力使用量や個人の活動量データなど、センサーから生成するIoTデータも取り扱う。

 実証実験の結果をもとに、情報銀行に求められる条件を整理し、認定基準の改善案として提示するという。これにより、情報銀行の社会への実装を進める。

表1:実証実験における各社の役割
日立製作所 情報銀行事業者として、実証実験に参加する社員200名の募集と情報銀行システムの構築・運営を実施する。また、参加者のデータを保有するデータ保有者として、参加者の活動量センサーから得られる健康データ・収入データを本人の同意の下で情報銀行に提供する。実証実験を通じて情報銀行の運用上の課題の抽出と解決策を検討するとともに、参加者へのアンケートを通じてデータ提供に対する受容性の分析等を行う
日立コンサルティング 情報銀行が個人・データ保有者・データ利用者との間で締結する契約書の雛型となるモデル約款(「情報信託機能の認定に係る指針ver1.0」において公開)の適切性、十分性などを検証する。また、認定基準の妥当性等についても検討する
インフォメティス データ保有者として、参加者の各家庭に電力センサーを設置し、電力データの収集および情報銀行へのデータ提供を行う
東京海上日動 データ利用者として、情報銀行から提供されるデータを用い、家電向け保険・サービスの開発可能性を検討する
日本郵便 データ利用者として、情報銀行から提供されるデータを用い、在宅率に応じた宅配ルートの改善可能性を検討する
デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム データ利用者として、情報銀行から提供されるデータを用い、プロファイルに基づくWeb広告の配信効果を検証する
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情報銀行 / 日立製作所 / 個人情報 / 日立コンサルティング / 東京海上ホールディングス

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