[経営者をその気にさせる―デジタル時代の基幹システム活用戦略]

ECM/SDM→SCM→DCMの流れを取りまとめる経営管理【第11回】

2018年10月2日(火)青柳 行浩(NTTデータ グローバルソリューションズ ビジネスイノベーション推進部 ビジネストランスフォーメーション室 室長)

今回は、ECM(Engineering Chain Management)/SDM(Service Design Management)、SCM(Supply Chain Management)、そしてDCM(Demand Chain Management)という事業活動の流れを取りまとめる経営管理のありかたについて考察する。

 事業活動の結果はすべて経営管理データとして落とし込まれ、経営管理データに基づき企業の経営管理が行われる。ECM/SDMプロセス→SCMプロセス→DCMプロセスがループのように描かれているが、実際の企業活動において、各プロセスはそれぞれ基本的に非同期で活動を行っており、太陽の周りを惑星が個々の周期で回転しているようなイメージで異なる時間軸をもって遂行されている。

 太陽が引力で各惑星をつなぎとめているように、企業活動をマネジメントの方向性にあわせかつ円滑に運営するためには、各プロセスを1年、3カ月、1カ月など事業のサイクルに合わせて同期させ、各プロセスの状況の調整を行なわなければならない。どのようなタイミングで各プロセスの同期をとるか、どのような経営管理データに基づいて調整を行うかなどを決定し、それを運用するのが経営管理の役割だ(図1)。

図1:ECM/SDM、SCM、DCMを取りまとめる経営管理
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経営管理に「デジタル化の4つの対応機能」を適用

 これまで、ECM/SDM、SCM、DCM、各プロセス間のインタフェースを「重要ポイント」とおき、デジタル化の4つの対応機能を適用させることで基幹システムがどのように変わっていくかを検討してきた。今回は経営管理にデジタル化の4つの対応機能を適用させることで基幹システムがどのように変わっていくかを検討する。

 今までと同様にデジタル化の4つの対応機能は、①非時系列的に発生する業務への対応機能、②発生時点で未確定要素の多い業務への対応機能、③短サイクル業務への対応機能、④財務エンティティを超えたグループ業務への対応機能になる。連載第4回~第6回で、企業における経営管理サイクルは大きなPDCAサイクルと現場を回すOODAループで構築すべきと述べた。第4回に掲載した企業における経営管理のPDCAサイクルの図にOODAループを位置づけると図2のようになる。この図を元に経営管理にデジタル化の4つの対応機能を当てはめていくことにする。

図2:企業における経営管理のPDCAサイクルとOODAグループの位置づけ
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①非時系列的に発生する業務への対応機能

 経営管理プロセスは戦略、中期計画および年度計画の策定や活動監視/評価および戦略/予算・計画の見直しも特別な場合を除き、定期的に実施される。経営管理プロセスで非時系列的に発生する業務は、マネジメントからの経営状態に関するレポートを要請されること(これはしばしば発生するが……)や経営管理に関する見直しが必要になる緊急事態が発生した場合だろう。マネジメントからの要請や緊急事態への対応のどちらも最新の経営管理データがリアルタイム(発生と同時)に更新され、必要なとき(オンデマンド)に迅速に最新の経営管理データを参照できるようになることで対応が可能になる。

・マネジメントからの要請により、最新の経営管理データに基づいたレポートが可能になる
・最新の経営管理データに基づき、今後の経営状況のトレンドが見えるようになる

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