[DX時代に再注目―イベントドリブンアーキテクチャ(EDA)の本質と価値]

今、イベントドリブンアーキテクチャ(EDA)に注目が集まる理由:第1回

2018年10月9日(火)諸角 昌宏

デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みの過程で、“俊敏な処理”を超えて“リアルタイムな処理”がシステムに求められる局面が増えている。その対応にあたっては、既存のシステムアーキテクチャにでは限界があり、DX時代に不可欠なアプリケーション開発手法として、改めて「イベントドリブンアーキテクチャ(EDA)」に注目が集まっている。本連載では、最新のEDA/イベントドリブン型アプリケーションプラットフォームが備える特徴・機能を解説し、その本質と価値を探っていく。

昨今のビジネスを支えるITの課題

 IoT(Internet of Things)が注目を集めるようになって久しい。今ではさまざまな分野・領域でセンサーが活用され、膨大な情報が日々生成・蓄積されてきている。また、ビッグデータ分析やAI(Artificial Intelligence:人工知能)の進展により、一般的な企業でも詳細なデータ分析がなされるようになり、次の製品戦略やマーケティング戦略に利用されている。

 これらの“旬”なテクノロジーの活用は、いずれも膨大多種なデータから価値を見いだすアプローチをとるが、今のビジネス状況を考えると、これらだけでもまだ十分ではない。情報自体を「イベント」として受け取り、瞬時にアクションを取っていく「リアルタイムイベント処理」が求められる局面が増えてきているからだ。

 このリアルタイムイベント処理を可能にするテクノロジーが「EDA(Event Driven Architecture)」で、にわかに注目を集めてきている。本連載の第1回目ではまず、EDAが必要とされている背景や理由について考えてみる。

 昨今、ビジネスを支えるIT環境として、大きく次の3点が重要となっている。

情報の利活用がビジネスの生命線

 情報を利活用できることが、企業のビジネス活動の中枢となっている。世界の時価総額ランキングを見ると、アマゾン・ドットコム、グーグル、フェイスブックといった情報そのものをビジネス化している企業がトップ5に名を連ねている。世界トップクラスの例ではあるものの、これからの時代は、情報をうまく利活用できない企業は生き残れないと言っても間違いではないだろう。また、IoTで扱う情報のように、データが今までとはケタ違いに大量多種になっている。これらを有効かつ効率的に処理できるシステムが必要とされている。

作りながら拡張・改善していくシステム開発が企業の生き残り戦略

 昨今のビジネス環境には、業種を問わずかつてない迅速性が求められている。フォーチュン500クラスの企業ですら、その寿命は、1960年代では75年と言われていたが、昨今は15年と言われている。したがって、過去のビジネスにとらわれず常に新しいビジネスを迅速に展開できることが重要であり、それを実現し支えるITシステムの開発にも迅速性が欠かせなくなっている。

 このような環境においては、最初に仕様を定めて、仕様どおりに動くシステムを構築するという従来のやり方では間に合わない。作りながら拡張、改善していく開発が求められている。

リアルタイム性がこれからのビジネスの差別化要因

 ビッグデータ分析やIoTなどで一般的な、膨大なデータを蓄積し、そこに分析をかけるデータ蓄積型のアプローチだけではカバーできない局面があることを上で述べた。現在のビジネスのスピードから、リアルタイムに情報を処理し効果的な対応を瞬時に取ることが今後はより求められるようになる。

 例えば、店舗にある客が訪れたとき、瞬間にその客個人の嗜好やそのときの天候などに合ったサイネージ広告が表示される――そんな仕組みが今後のビジネスにおいて差別化要因となっていく。

 イベントに基づいてアクションを取っていくということは特に新しいことではない。例えば、既存のオンラインでの発注処理を考えると、オンラインでの注文(イベント)に基づいて発注・配送を行う処理(アクション)が行われている。だが、その「イベント処理」は、ある決められたイベントに対する一連の連続した処理を行っているにすぎない。

 それに対して、今日のビジネス環境では、さまざまに変化するイベントを処理することができ、また、その処理自体もさまざまに変化するビジネス要件に対応している必要がある。このためには、アプリケーションごとに対応するのではなく、ダイナミックに変化するイベントおよび処理に対応できるアーキテクチャが必要となる。

 これを実現できる仕組みとして、改めてEDAに注目が集まっている。EDAでは、次々と上がってくる多様な情報をイベントとして扱い、一連のイベントを監視・分析・対応し、かつアルタイムに処理することを可能にする。

 以下では、EDAの概要を説明したのち、その基盤となる「イベントドリブン型アプリケーションプラットフォーム」について、米VANTIQ(バンティック)のソリューションを挙げながら説明していく。

DX時代に不可欠なアプリケーション開発手法として、改めてイベントドリブンアーキテクチャ(EDA)に注目が集まっている

イベントドリブンアーキテクチャ(EDA)の概要

EDAとは

 EDAは、イベントを生成、検出、処理し、それに対するアクションを扱う一連のフレームワークである。それでは、その元となるイベントとは何であろうか。イベントとは、何らかのアクションを必要とする、あるいは、アクションに影響を与える事象(VANTIQでは「シチュエーション」と呼んでいる)と、それに必要となる情報のことである。EDAでは、IoTデバイス、センサー、その他システムなどから発生するあらゆるイベントを扱っている。

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