[海外動向]

斬新!キャッシュレスのグローサラント「habitat」─シンガポール発新業態が示す小売業の未来

2018年11月21日(水)福田 秋裕(特定非営利活動法人CeFIL デジタルビジネス・イノベーションセンター DBIC)

アマゾン・ドットコムを筆頭とするECは小売業界に変革をもたらしたが、さらにその先の試みがすでに始まっている。新しいカスタマーエクスペリエンス(顧客体験)を提供するべく、デジタル技術を駆使した新業態開発が世界中で活発だ。その1つが食料雑貨店とレストランを融合した「グローサラント」だ。本稿では、シンガポールのスタートアップ企業オネストビーが2018年10月にオープンした最新のグローサラント店舗「habitat by honestbee」での筆者の体験をレポートする。

シンガポールの新興企業が仕掛ける新業態

 2018年10月18日、シンガポール郊外にスーパーマーケットが開店した(写真1)。といっても単なるスーパーではない。6万平方フィート(5574平方m=75m×75m)の店舗には、食材や日用品を販売するコーナーとキッチンスペースが混在して配置されている。客は買った食材をキッチンで料理してもらい、その場で食べることができる。米国発祥の「グローサラント(Grocerant、GroceryとRestaurantを組み合わせた造語)」と呼ばれる新業態であり、新たな顧客体験を提供する手段として注目されている。

写真1:habitat by honestbeeの入口。斬新な仕掛けの新業態店舗なのに、外観は地味な印象だ

 それだけなら日本でも成城石井やイオンなどが手がけはじめているので、さほど注目に値しないが、この店にはもう1つ特徴がある。グローサラントなのに現金は一切使えず、レジも存在しないことだ。つまり、キャッシュレスとグローサラントを融合させ、カスタマーエクスペリエンス(顧客体験)の価値を高めようとする取り組みである。

 この店舗を開いたのは、オネストビー(honestbee)という、シンガポールで2014年12月に設立されたスタートアップ企業だ。Webサイト(https://habitat.honestbee.sg/画面1)には、"We're a multi-sensory, tech-meets-food grocery and dining experience like no other."と自慢げに書かれている。しかし同社の出発点は、日本でも買物代行サービスや洗濯物回収サービスを提供する宅配サービス専門ベンチャーであり、異業種参入という点も目を引くポイントとなっている。

画面1:オネストビーのWebサイト
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さまざまな購入方法を用意し、斬新な買い物体験を提供

 店舗は、シンガポール中心部ではなく、西に約10kmの倉庫・ビジネスセンター地域だ。現金が使えないので、客は入店する前にスマートフォンにhonestbeeアプリをダウンロードする。このあたりの仕組みは、話題になった米アマゾン・ドットコムのレジレス店舗「Amazon Go」と同様だ。店の入口で無料のWi-Fiが使え、その場でダウンロードすることもできる。アプリには「beePay」と呼ばれるオンライン決済システムが組み込まれており、クレジットカードかデビットカードを登録すれば準備完了。アプリに表示される会員証のQRコードを入場ゲートにかざせば(写真2)、入店が可能になる。

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