[市場動向]

データの秘匿性を保って複数社での連携利用を可能にするマシンラーニング技術、NICTが開発

2019年2月1日(金)日川 佳三(IT Leaders編集部)

国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は2019年1月31日、プライバシーを保護したまま学習結果を反映できる深層学習(ディープラーニング)技術「DeepProtect」を開発したと発表した。2021年度末までに、金融機関の顧客データを外部に開示することなく、複数の金融機関が連携して学習できるシステムを構築する、としている。

 DeepProtectは、プライバシーを保護したまま学習結果を反映できる深層学習技術である。複数の組織内で学習した結果を暗号化して中央サーバーに集め、中央サーバーで暗号化したまま学習結果を更新できるようにする。各組織が持つデータを外部に開示することなく、複数組織が連携することで多くのデータを基にした学習が可能になる(図1)。

図1:複数の組織が持つデータを外部に開示することなく協調して深層学習を行えるプライバシー保護深層学習システム「DeepProtect」の概要(出典:国立研究開発法人情報通信研究機構)図1:複数の組織が持つデータを外部に開示することなく協調して深層学習を行えるプライバシー保護深層学習システム「DeepProtect」の概要(出典:国立研究開発法人情報通信研究機構)
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 例えば、金融業界で課題となっている不正送金(振り込め詐欺等)の検知にDeepProtectを活用すると、各金融機関の顧客データを外部に開示することなく、複数機関で連携して学習できるようになる。個々の金融機関のデータだけでは学習データが不十分でも、複数の金融機関のデータをあわせて学習できれば、不正送金の検知精度が高まる。

 DeepProtectは、NICT、神戸大学、エルテスの3者が取り組んでいる研究開発テーマで、パーソナルデータを保護しつつ機械学習を活用して異常や不正の検知を行うプライバシー保護データ解析技術の成果として生まれたものである。研究開発の中でNICTが開発した。

 NICT、神戸大学、エルテスの3者は、これまでも、千葉銀行などの協力の下、不正送金を検知する実験を行ってきた。これまでの各銀行における個別の検知実験では、機械学習によって実際の不正送金の約70%を不正送金であると判定できる例が出てきている。

 3者は、不正送金の自動検知の精度向上に向け、より多くの金融機関と連携した実証実験を開始すべく、参加する金融機関の募集を開始した。2021年度末までに、各金融機関の顧客データを外部に開示することなく、複数機関で連携した学習が可能なシステムを構築する、としている。

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