[市場動向]

記録とSNS仲間がモチベーションを高めてくれる学習管理サービス「Studyplus」

あらためてRubyのポテンシャルを知る─Ruby bizグランプリ2018より(2)

2019年3月27日(水)Ruby bizグランプリ実行委員会

日本発のオープンソースのプログラミング言語として知られる「Ruby」と、その開発フレームワーク「Ruby on Rails」。これらを使ったアプリケーションやサービスの開発が定着して久しいが、企業ITの世界では、その実態が意外にも知られていない。そこで、「Ruby bizグランプリ2018」で大賞に選ばれた2つのサービスを2回に分けて紹介する。今回紹介するのは、自律的な学習を支援する「Studyplus」(開発:スタディプラス)である。

 Rubyを使って開発されたシステムやサービスを表彰する「Ruby bizグランプリ2018」。前編で、フードロス(食品廃棄)問題の緩和を目指す「TABETE」を紹介した(関連記事ITでフードロスを減らせ─元料理長とWebディレクターが開発した「TABETE」)。

 今回は、もう1つの大賞受賞サービスである「Studyplus」を紹介する。開発元のスタディプラスいわく、「何を、いつ、どれぐらい勉強したかを記録して可視化し、他のユーザーとシェアし合う」学習管理SNSであり、「スタプラ」の愛称で呼ばれている。大学受験生を中心に、社会人も語学学習や読書管理などに利用しており、ユーザーの累計は400万人を超える。


Ruby bizグランプリ2018大賞
Studyplus 
https://www.studyplus.jp/
開発概要:自律的な学習を助けるSNS
開発企業:スタディプラス株式会社
Rubyを採用した理由:
・ライブラリ(gem)が豊富で、汎用的な仕組みを作る際に再利用性が高い
・簡潔な実装と、高い生産性で開発が出来ている
・開発事例が多く、情報が見つけやすい

「学習を継続させるには、切磋琢磨が重要」

 大学進学率が高校生の半数を超えた現在でも、「受験仲間」がいない受験生が案外多い。地方の高校や進学率の高くない高校の生徒だと、そうした状況はめずらしくないが、たとえ都心の進学校や塾に通っている生徒であっても、マイナーな学科志望などで、周りに同じ目標を持った仲間がいない受験生は少なくないのだ。彼・彼女らが「同じ目標に向かって一緒に頑張れる友だち」を見つけられる場をもたらしたい──これが2012年にサービスがスタートしたStudyplusの基本である。

写真1:スタディプラスの松田熱氏(左)と島田喜裕氏(右)

 アイデアは、スタディプラス代表取締役の廣瀬高志氏の経験が元になっているという。廣瀬氏が高校時代に所属したバスケットボール部の先輩に教えてもらった勉強法がそれで、「自分がいつ、何を、どれぐらい勉強したかをノートにつける」というもの。実際に試してモチベーションが上がったという経験から、それをサービスにしたわけだ。

 当初はひたすら記録するだけのサービスだったが、ユーザーからの「学習意欲の高い人達が集まっているのだから、お互い交流して切磋琢磨したい」という要望を汲んで、SNS機能を追加した(画面1)。

画面1:StudyplusのiPadアプリのSNS画面(出典:App Store 日本)
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 2016年には「Studyplus for School」という、学校や塾など教育事業者向けのサービスも開始した。生徒個人のStudyplusと連携させて教育事業者が使用する学習管理プラットフォームだ。学校や塾の先生が、生徒の学習状況を見てコーチング的な使い方をする。これまで生徒との面談や会話などからしか得られなかった、生徒の学習状況を把握できる。

 これによって生徒の頑張りが可視化され、見落としたり気づかなかったりするささやかな頑張りにも気づくことができる。SNSなので先生が「いいね」とリアクションしたり、コメントをしたりして、生徒のモチベーションを上げることができる。生徒のやる気を刺激し、継続を促すのである。Ruby bizグランプリ実行委員会は「サービスの認知度の高さ」「社会的に大きなインパクトを与えていること」を評価し、大賞に選んだ。

ユーザーが見える開発スタイルを採用

 スタディプラスでは、サービス開発にアジャイル型のスクラム手法を採用し、デイリースクラムを毎日夕方に実施している。具体的には、Studyplus開発部が複数あるプロジェクトチームや職種毎のグループで実施し、「Slack」を使って状況を全員で共有する。一方、Studyplus for School事業部では、カスタマーサクセスチームなど、エンジニア以外も含めた事業部全員でデイリースクラムを実施する。

 これにより、Studyplus for Schoolを担当するエンジニアは、カスタマーサクセスチームに届くユーザーの声を直に知ることができる。同事業部のエンジニアである松田熱氏(写真1)は、これが何より嬉しいとして次のように話す。

 「Studyplus for Schoolではユーザーが退会するとき、つまりStudyplusとStudyplus for Schoolの連携を解除する際に理由を書いてもらっているのですが、春になると『志望校に合格したので』という理由で止める人がたくさん出てきます。それを見ていると、生徒さん一人ひとりが夢をかなえられている、目標を達成できたんだなというのが目に見えて、ジンときました」。ユーザーの退会が開発会社を嬉しい気持ちにさせるという、レアなケースかもしれない。

 それもあってスタディプラスは、ユーザーが見えるようにする仕掛けに工夫を凝らしている。一例が、Studyplus for Schoolの導入塾や利用を検討している方を招いたイベントだ。Studyplus for Schoolの新機能を示すのが目的だが、松田氏は「なかでも学校の先生と一緒に来ていた生徒さんがとても気に入ってくれて、先生に『これで勉強時間のランキング作ろうよー』などと熱心に導入を勧めていたのが印象に残っています」というエピソードを披露してくれた。

●Next:Rails、gemライブラリをどう活用したのか

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