[イベントレポート]

Blue Prismが“Connected-RPA”ビジョンを強化、AI文書処理「Decipher」を発表

既成RPA製品の枠を越えてAI活用/自動化を推進─Blue Prism World 2019 London

2019年4月9日(火)鈴木 恭子(ITジャーナリスト)

RPA(Robotic Process Automation)ベンダー大手の英Blue Prismは2019年4月3・4日(現地時間)、年次コンファレンス「Blue Prism World 2019 London」を開催した。RPA製品市場のパイオニアの自負を持つ同社だが、最近は組織全体のプロセスを網羅する「Connected-RPA」や、AIやマシンラーニングを駆使した自動化「Intelligent Automation」といったRPAの進化ビジョンを打ち出している。今回のコンファレンスでは、そんな同社のビジョンを推し進める新機能として、AIで高度な文書処理を行う「Blue Prism Decipher」を披露した。

「RPAが大規模企業の組織サイロ化問題を解消する」

 日本では労働人口減少の補填や「働き方改革」の手段の1つとして注目されるRPAだが、グローバルでもそのニーズは高い。Blue Prismが英ロンドンで開催した「Blue Prism World 2019 London」(写真1)には、欧州やアジア太平洋地域から約2600名が参加した。この数字は前回、2018年のコンファレンス参加者数の2倍強にあたる。

写真1:会場となったのはロンドン郊外のウォーターフロント再開発地区にあるコンベンションセンター、ExCeL London。日本で言うところの「東京国際展示場」みたいな所だ

 今回掲げられたイベントテーマは「Connected Entrepreneur Enterprise」(起業家と大規模企業をつなぐ)だ。かねてからBlue Prismは、大規模企業における組織のサイロ化が、デジタルトランスフォーメーション(DX)を阻害すると警鐘を鳴らしている。

 初日の基調講演に登壇した同社CEOのアレスター・バスゲート(Alastair Bathgate)氏(写真2)は、「大規模企業のIT部門では、プロセスの変更やシステムの刷新に消極的で、新技術の導入に対して腰が重い。一方、アジャイルやDevOpsといった開発手法を積極的に導入し、DXを遂げている新興企業もある。RPAはそうした“ギャップ”を解消するものだ」と訴求した。

写真2:Blue PrismでCEOを務めるアレスター・バスゲート氏

 RPA製品は大きく分けてサーバー型とデスクトップ型がある。サーバー型RPAを提供するBlue Prismは、「RPAがもたらす価値は、単なるデスクトップ作業の自動化ではなく、企業のビジネス全体を鳥瞰し、幅広い業務領域のプロセスを変革するものだ」と位置づけている。同社の共同創立者でCTOを務めるデビッド・モス(David Moss)氏(写真3)は、「イノベーションに疎い企業は、デジタル化が局所的(デスクトップ)なものにとどまっている」としたうえで、同社が提唱する「Connected-RPA」を紹介した。

写真3:Blue Prismの共同創立者でCTOのデビッド・モス氏

 Connected-RPAは、IT部門が全社的なコンプライアンス(法令順守)やセキュリティ、拡張性、耐障害性を実現しながら、ビジネス部門が主導権を握り、業務プロセスの自動化を推進する戦略を指す。AIやコグニティブ技術を簡単、かつ迅速に活用できる環境を提供することで、新製品やサービスを市場に投入するまでの時間を短縮し、競争力を強化するのが狙いだ。モス氏は次のように説明した。

 「Connected-RPAは、大規模企業に新興の起業家精神(Entrepreneurship)を埋め込むものだ。ビジネス部門にも、デジタル技術の導入によって、能力を発揮できるデジタルイノベーターが必要だ。我々はそうした人材のアイデアや創造性を具現化する包括的な製品やサービスを提供していく」

 Connected-RPAビジョンの構成要素として、主力製品のサーバー型RPAソフトウェア「Blue Prism」を核に、「Blue Prism Digital Exchange」「Blue Prism Community」「Blue Prism AI Labs」が配されている(図1)。

図1:Connected-RPAの構成要素
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 Blue Prism Digital Exchangeは、自然言語処理やOCR(光学文字認識)、AI/マシンラーニング(機械学習)といった先進技術を必要に応じてダウンロードできる同社のマーケットプレイスだ。また、Blue Prism Communityは、Blue Prismユーザーがユースケースや知見を共有する“場”を指している。そして、Blue Prism AI Labsは2018年12月にロンドンに設立した研究施設で、「単なる技術開発ではないレベルの研究」(モス氏)を、英マンチェスター大学(The University of Manchester)と共同で行っている。

 Blue Prismはこれらを包含したものを「Blue Prism Connected-RPA Platform」と位置づけている。すでに、1300社以上の企業が同プラットフォームを活用しており、AIやマシンラーニングを活用して、ビジネスプロセスの自動化と継続的な改善を実現しているという。

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