[市場動向]

VUCAのもたらす激変に追随できる「データドリブンな組織」その姿は?

VUCA時代を生き抜く! データドリブンな組織・カルチャーへの転換[前編]

2019年5月29日(水)奥野 和弘

ITを駆使した技術革新が斬新なビジネスモデルを可能にし、既存の市場をひっくり返す破壊的イノベーションが次々と生まれている。一方で、こうした現在の市場環境は、企業にかつてないスピードで変わり続けることを強いており、それについていけない企業は退場を余儀なくされる──。変動性、不確実性、複雑性、曖昧性の頭文字からなる「VUCA(ブーカ)」の時代に、企業が生き残り、成長を続けるためには何をなすべきか。筆者が欠かせないとなるのが「データドリブンな組織・カルチャー」への転換である。その道のりで重要なポイントを前・後編の2回にわたって解説していく。

VUCAがもたらす劇的な変化、それに対応できる組織のあり方

 変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)。現代を象徴する4つのワードの頭文字を取って「VUCA(ブーカ)」。一言で言うと「先行きの予測が不可能な状態」を指している。

 スタンリー・マクリスタル(Stanley McChrystal)氏。読者の中には、この名前に聞き覚えがある方がおられるかもしれない。米軍で国際治安支援部隊司令官およびアフガニスタン駐留軍司令官を務めた同氏は、“VUCAな状況下”における組織のあり方を説いた第一人者として知られている。

 マクリスタル氏によれば、トップダウンで意思決定がなされるヒエラルキー型の組織では、今日の世界の変化についていくことができず、そのため、データの民主化と権限移譲によって実現される、データドリブンなネットワーク型組織を目指すべきだと説いている。そうすることで、意思決定とアクションのスピードと回数を劇的に増やし、VUCAがもたらした変化のスピードに追随できる組織にすることができるという。

写真1:VUCAがもたらした変化のスピード。それに追随できる組織への転換が市場で勝ち残る条件になっている

 データドリブンなネットワーク型組織とは、組織内のすべての人がタイムリーで正確なデータへアクセスでき、なおかつそのデータに基づいて必要な意思決定とアクションを行うための権限とモチベーションを与えられている組織を指す。

 ビジネスの世界では、多くの企業が、組織内にAI推進室やデジタル部門を設立し、組織内のデータ活用を最大化させようと取り組んでいる。だが、それではデータを活用できる人数が限られてしまうため、従来のヒエラルキー型と大きな変わりはない。また、意思決定のスピードも遅く、VUCAを生き残るためには不十分だと言えるだろう。

 「先行きの予測が不可能な状態」を生き残るためには、経営層はもちろん、部門長からチームリーダー、一般社員に至るまでデータを活用し、自ら必要な意思決定とアクションをとれる環境が整ってなくてはならない。

データドリブンな環境が実現されると組織やカルチャーはどう変わるか

 では、本当の意味でデータドリブンな環境が実現されると、組織やカルチャーはどのように変わるのだろうか。筆者が所属するDomoでは、全社がデータドリブンなネットワーク型で組織されている。少々手前味噌になるが、当社の事例を例にとって説明してみたい。

 当社では、営業やマーケティング、経理など部門を問わず、ありとあらゆるデータが、ビジネスデータの管理・共有・活用のためのプラットフォームである「Domo」の上にリアルタイムで集約されている。

 このプラットフォームの下、すべての社員が必要なデータへ、いつでも、どこからでもアクセスできるよう整備されている。Domoで扱う各種のデータは、従業員がそれらのデータに基づいて意思決定を容易に行えるよう可視化され、個別にパーソナライズされている。そのため、IT部門からのデータを待ったり、上長の判断を待ったりすることなく、ビジネスユーザーみずからがデータに基づいた的確なアクションを起こすことができる。

図1:データドリブンの考え方に基づき、必要なときに必要なデータにいつでも、どこからでもアクセスできるようにする必要がある

●Next:データドリブンな業務遂行の具体例

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