[調査・レポート]

業務自動化率で日本企業は調査国中最下位、理由は「変化への恐れ」

ServiceNowのグローバル調査と年次コンファレンスで見えた課題と打開の方向性

2019年6月11日(火)五味 明子(ITジャーナリスト/IT Leaders編集委員)

ServiceNow Japanは2019年6月5日、「業務自動化に関する国際調査」の調査結果を発表した。業務の自動化に対する従業員の考え方や経験、企業内における業務自動化のレベルなど12国・地域で調査したところ、日本企業の業務の自動化率は全体で最も低いという結果になった。この業務自動化やデジタルトランスフォーメーションにおける日本企業の遅れの原因は「変化への恐れ」だ。ワークスタイル変革をテーマにした年次コンファレンスでで同社が発したメッセージと合わせて、浮き彫りになった課題と打開の方向性を考えてみる。

写真1:ServiceNow Japan社長の村瀬将思氏

 ServiceNow Japanが、今回公にした「業務自動化に関する国際調査」は、米国の市場調査会社Lawless Researchと米ServiceNowによる共同調査である。両社は2018年8月、日本や米国を含む12の国・地域に拠点を置く従業員500人以上の企業に在籍する従業員6477名を対象に調査を行った。ServiceNow Japanによると、調査対象者は日常的にPCやタブレット、スマートフォンなどのデバイスを業務に使用しており、業種業界や職種は非常に多岐にわたっているという。日本からの回答者は517名となる。

 「残念ながら、調査対象12地域において、日本が最も業務の自動化率が低く、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進で他国に後れを取っている」。ServiceNow Japan社長の村瀬将思氏(写真1)は、日本企業の業務自動化に対する姿勢についてこう指摘する(図1)。

図1:業務自動化の遅れに加え、デジタルスキルの習得に関しても日本は遅れており、デジタルトランスフォーメーションの阻害要因となっていることが明らかに(出典:ServiceNow Japan)
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 村瀬氏は続けて、「日本企業は、業務の自動化が従業員の生産性や創造性の向上、ストレス軽減などの恩恵をもたらすことを理解しながらも、自動化によって生じる業務の変化や新しいスキルの取得に関して大きな恐れを抱いている」(図2)と話し、国内で潮流となっている働き方改革の方向性として「“人”を中心とした新しい働き方をデジタル変革で実現することが重要」と強調する。

図2:自動化に対する懸念として「変化に対する恐れ」が他国よりも強いことが明らかに。逆に自動化による失業にはあまり心配していないという結果も(出典:ServiceNow Japan)
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 日本でもDXが叫ばれて久しいが、実際に業務自動化が進んでいない土壌では生産性や効率性の向上が進まず、デジタルによるイノベーションも生まれにくい。調査では次のような状況も明らかになっている。

●「過去3年間に自身の業務や業務プロセスに自動化が導入された」と回答した割合は、日本は42%で12の調査地域で最も低い(世界平均57%)

●「業務に必要なデジタルスキルを備えていない」「キャリアップに必要なデジタルスキルを備えていない」のそれぞれに回答した割合は、日本は20%、29%。いずれも世界平均(6%、11%)を大きく上回り、12調査地域の中で最も高い

 これらから、日本企業は業務自動化が進んでいないことに加え、従業員自身がデジタルスキルに自信を持てない実態も浮かび上がっている。

図3:「業務自動化に関する国際調査」の調査方法。対象は米国、日本、英国、オーストラリアなど12の国・地域の6477名の回答者である(出典:ServiceNow Japan)
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●Next:自社の業務自動化レベルを聞かれ、日本企業はどう現状を評価したのか?

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