[市場動向]

富士通研究所、オンライン取引相手の本人情報の信用度と詐称リスクを分析する技術を開発

2019年7月5日(金)IT Leaders編集部

富士通研究所は2019年7月4日、オンライン上の取引に関わるサービス事業者や利用者に対して、取引相手の本人情報の真偽を判断可能なアイデンティティー流通技術「IDYX(IDentitY eXchange)」を開発したと発表した。取引前に相手の信用度を判断できるので、より安全なオンラインサービスを享受できるようになる。

 近年、デジタル化の進展に伴い、顔の見えない相手とオンラインで取引する際に、相手がどのような人物で信用できるのか、判断することが難しくなってきている。最近では、経歴や資格などの本人情報を詐称する問題が増えており、信頼できる本人情報の流通を実現することが課題になっている。

 こうした状況を受けて富士通研究所は今回、取引相手の本人情報の信用度と詐称リスクを分析する技術を開発した(図1)。本技術により、IDYXの各ユーザーは、取引前に相手の信用度をスコアやユーザー間の関係性を表したグラフなどから判断できるようになる。より安全なオンラインサービスを享受できるようになる。

図1:「IDYX」による本人情報の流通の手続き(出典:富士通研究所)図1:「IDYX」による本人情報の流通の手続き(出典:富士通研究所)
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 IDYXのユーザーは、取引を行った際に、相手に対してお互いに評価を行う。この情報と、過去の取引などから個々に構造化されていくユーザー間の関係性の情報を使う。これらの情報を使って、取引相手の本人情報の信用度と詐称リスクを分析する。ブロックチェーン技術の拡張によって、本人情報を安全に流通させる仕組みを実現した。

 取引によって発生するユーザーごとの評価を、トランザクションデータ(一連のデータ)として登録する。ブロックチェーン上で、改竄不可能な分散台帳に評価を格納する。さらに、IDYXのユーザー間の関係性が分かるように、グラフ構造に変換する。

 何人のユーザーから信用されているか、どれくらい信用度の高いユーザーから信用されているかなどで重み付けを行い、信用度スコアを付ける。ユーザーが自分の本人情報を保証する第三者との間で不正に評価を上げていた場合でも、グラフ構造の関係性から、ほかのユーザーとの関係性が希薄であることなどが分かるため、詐称の可能性が分かる。

 富士通研究所は今後、IDYXをデジタルビジネスを支えるアイデンティティーの信用基盤サービスとして発展させ、金融をはじめ様々な分野で実証を進める。さらに、ブロックチェーン技術を活用したデータ活用のためのクラウドサービス「FUJITSU Intelligent Data Service Virtuora DX データ流通・利活用サービス」の新機能として、2019年度中の実装を目指す。

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