[市場動向]

経済産業省、DXへの取り組み状況を自己診断で可視化する「DX推進指標」を公開

2019年7月31日(水)田口 潤(IT Leaders編集部)

デジタルトランスフォーメーション(DX)が喧伝される中、自社の取り組み状況はどのレベルにあるのか──。経済産業省は2019年7月31日、それを自己診断するための評価指標「DX推進指標」を公開した。個別の設問に回答していくと6段階で自社の実情を把握できる。複数企業の回答を集計して平均値を算出する構想もある。

 今回、経済産業省が公開したのは、「デジタル経営改革のための評価指標(DX推進指標)」である。2018年9月公開の「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」、同年12月公開の「DX推進ガイドライン」に続くもので、企業・組織がDXへの取り組み状況を自己判定のかたちで可視化できる。

 DXの推進には「経営幹部、事業部門、DX部門、IT部門など関係する者が現状や課題に対する認識を共有し、アクションにつなげていくことが不可欠」(同省)という問題意識から、関係者が気づきの機会を得られるようにすることを目的にまとめた(図1)。加えて「本指標を用いて各社が実施する自己診断の結果は、中立的な組織が収集し、ベンチマーキングを行うとともに、その情報を提供する」計画も打ち出している。

図1:「DX推進指標」の構成。大きく「経営のあり方、仕組み」と「DX実現にあたり基盤となるITシステムの構築」からなる(出典:経済産業省)
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 図1の推進指標のフレームワークは、大きく「DX推進のための経営のあり方、仕組み」、「DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築」の2分野で構成し、それぞれに「枠組み」と「取組状況」を設けている。設問数は、「経営のあり方、仕組み」の「枠組み」と「取組状況」が各19問、「ITシステムの構築」それぞれ15問、7問と、当然だが、経営のあり方や仕組みに重点を置いている。

 設問例を図2に示した。現在と3年後を6段階の成熟度レベルで回答すると同時に、成熟度を判断した理由やエビデンスを記入する欄もある。

図2:DX推進指標における自己評価設問の例(出典:経済産業省)
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 これだけではなく、DXの推進では取締役会の役割も重要という考えから「DX推進における取締役会の実効性評価項目」もまとめている。これはよりシンプルで、設問群は(1)取締役の選任、(2)ビジョンの共有、(3)経営トップのコミットメント、(4)DXに求められるマインドセットなどの仕組み、(5)事業への落とし込み、(6)ITシステムの構築など10項目、複数設問の項目も含め全16問で構成される(図3

図3:DX推進指標における取締役会の実効性評価項目例(出典:経済産業省)
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 なお、推進指標の設問はExcelシート、取締役会の実効性評価項目はPDFと、フォーマットが異なる。なぜ統一しなかったのかということや、Excelシートの提出がメール添付を想定しており、例えば、そもそもなぜWebベースの質問にしなかったのか、あるいはクラウドストレージではないのかという点にも疑問は残る。「DX推進」という割には手段が、前時代的に見えるのだ。また経営層やマネジャー、一般社員のだれが回答するのかによって判断に悩む設問も少なくない。

 とはいえ、この指標のような、DXの取り組み実態を可視化できる手段が今まで存在しなかったのも事実。ピーター・ドラッカー(Peter Drucker)氏の「測定できないものはマネージできない(If you can't measure it, you can't manage it.)」という言葉を借りるまでもなく、自社の立ち位置を見える化する指標は、その先に進むために重要である。その意味でこのDX推進指標は歓迎すべきだろう。読者の皆さんには、ぜひ回答して、取り組みレベルの可視化を試みてほしい。

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経済産業省 / デジタルトランスフォーメーション / 2025年の崖

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