[To-Be デジタルリーダー[ITリーダーとIT部門の明日の姿・役割]]

僕らが事業会社のIT部門でチャレンジを続ける理由─LIXIL岩﨑氏×クックパッド中野氏(第2回:後編)

2019年9月24日(火)河原 潤(IT Leaders編集部)

あらゆる企業の経営課題となったデジタルトランスフォーメーション。その潮流は、ITの高度活用で経営を支えてきたIT部門自身にも「転換」を要求している。IT部門、それを率いるITリーダーがこの先どうあるべきで、何を担って経営に資するのか──。自社での実践を通じてこのテーマに対峙するクックパッドのITリーダー、中野 仁氏と各社キーパーソンの対談を通じて明らかにしてみたい。対談第2回では、LIXIL IT部門 システムインフラ部 部長 岩﨑磨氏との、忌憚なきトークを前中後編の3回にわたってお届けする。(構成と写真:河原 潤)

   ■LIXIL IT部門 システムインフラ部 部長 岩﨑 磨氏
   ■クックパッド コーポレートエンジニアリング部 部長 中野 仁氏

止まらない外資系へのIT人材流出

──前編中編はこちら。運用7割が肝、システム統合のこんまりメソッドといった話から、日本のIT産業、IT人材の問題に話が移ってきました。これからを担うITリーダーとして、お二人の考えを忌憚なくお願いします。

写真1:LIXIL IT部門 システムインフラ部 部長 岩﨑 磨氏(左)とクックパッド コーポレートエンジニアリング部 部長 中野 仁氏

中野氏:そうですね、ここのところ、優秀な層が外資系企業にバンバン抜かれている。その背景として、日系企業のデメリットが顕在化してきたように思います。

 まず、外資に比べて給与水準が見劣りし、雇用保障もそれほどしてくれないんだな、という。昔からそうだけど、本当に経営がヤバくなると雇用保障なんてはあってないようなものになる。微妙に手を変え、品を変えで整理解雇をやる。解雇スキームが微妙にイノベーティブで、本当によく考えるなぁ、と変な感心すらしてしまいます。その創意工夫、前向きに使えないものかと……。

 こうして日本企業は人材流出を止められない。20代半ばくらいの人たちが、年俸で200~300万上乗せされるんなら、そりゃ外資に行きたがりますよ。たとえ転職がうまくいかなくても失うものが少ないし、まだ余裕でチャレンジできる。

 個人の人生の観点で見たら、そっちのほうが得だし、自分がそんな若手の立場だったらそうする。しかも、最近は外資のほうがホワイト化していて、下手すると日本の事業会社のほうがよほどブラックだったりしますから。「激務だけど高給」はどこ行ったの?って感じ。ただでさえ人手不足のところに、さらにめぼしい人材まで引き抜かれたら、もう焼け野原としか言いようがないわけです。

お金は切実、でもそこに本当にやりたい仕事はあるのか?

岩﨑氏:僕は、このLIXILという会社で、それがいかにもったいないことかというのを証明もしたい。日本の製造業でも大きな、価値のある業務に携われる。この規模感の中で、本格的なIT改革に取り組める。僕らの力で変えられる

──というのが僕のチャレンジであり、モチベーションになっています。

 それができれば、LIXILは次のステージに行けます。そういうことがすごく楽しい。若者たちにも、実はこんなにチャレンジできる会社もあるので、飛び込んできたらすごくよい経験を積めるよ!ということは声を大にして言いたい。

中野氏:ですね。まだ行ける。我々がITの力でやれることがある。

岩﨑氏:もっともっとITの重要さということを、日本の事業会社は知ってほしいし、知るべき。人材も会社の枠を超えてもっと交流したいですね。

中野氏:経過を無視して結果だけ見ると、日本企業のIT投資の下手さ加減はある意味芸術的で、下手過ぎてむしろすごいのではないかと。逆に我々からしてみると、伸びしろはすごくあるはず。うまくやれば手柄を上げやすい。

「日本企業のIT投資の下手さ加減はある意味芸術的で、下手過ぎてむしろすごいのではないかと。逆に我々からしてみると、伸びしろはすごくあるはず」(中野氏)

 クックパッドのプロジェクトで参考にした、セールスフォース・ドットコムやワークデイといったエンタープライズIT業界の巨人たちの社内システム。これらを見るに、もしも私がそうした会社のCIOやITマネジャーに請われたとしても、もうやることが残ってないんですよ。すでに完成されていて面白くない。

 外資系日本法人のITマネジャーなら1000万超えとか当たり前にあるけど、そこに待っているのはやりたい仕事じゃない。本社に対する日本法人や日本市場の優先順位を下げているところも少なくないですし。

 しかも、今のグローバル企業のIT投資は、本社に中央集権化して、世界で共通のシステム使うのがスタンダード。となると、外資でITマネジャーと言っても、やることはすでにできあがった仕組みをどうローカライズするかといったことがメインになりがちです。それ、単純に仕事として面白いかな?と。まあ、そもそも私なんかを呼ばないと思いますけど(笑)

●Next:我と思う人は来たれ!事業会社のIT部門の醍醐味

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