[インタビュー]

アナリティクスの民主化─IT部門と事業部門はワンチームで高度な分析を

米テラデータ CMO マーティン・イーサリングトン氏

2019年10月25日(金)指田 昌夫(フリーランスライター)

米テラデータ(Teradata)は、主力製品であるアナリティクスプラットフォーム「Teradata Vantage」を、これまでのような分析担当者/IT部門が専ら使うツールとしてではなく、ビジネスアナリスト/事業部門に対しても広く活用を促している。同社がVantageの提供と共に掲げる“アナリティクスの民主化”時代には、IT部門や事業部門が実際どのように分析にあたるのか。CMO(最高マーケティング責任者)のマーティン・イーサリングトン(Martyn Etherington)氏に聞いた。

──Teradata Vantageを発表して1年が経ちました。顧客企業の評判はどうでしょう。

 当初、顧客企業からは「何だかよくわからない」という感想をいただくこともありました。そのため我々は、この1年、世界中の顧客企業にVantageの製品を持ち込んでデモンストレーションを行いました。このワークショップは世界13都市で行い、参加者は2000人に及びました。その効果もあり、徐々にVantageの狙いを理解してくれる顧客が増えていると感じます。

事業部門向けセルフサービス機能を大幅強化

──Teradataは、データサイエンティストやIT部門のアナリストだけでなく、ビジネスの現場で働くビジネス層への利用を進め、「アナリティクスの民主化」を謳っています。Vantageの浸透は、これまで主に既存の顧客に対する説明だったと思いますが、事業部門への取り組みはどうなっていますか。

写真1:米テラデータ CMOのマーティン・イーサリングトン氏

 Vantageの登場によって、事業部門の方からも関心を持っていただけるようになりました。その期待に応えるため、今回のTeradata Universeで「Vantage Analyst」を発表しました。これは、我々が「ビジネスアナリスト」と定義する、事業部門内でデータ分析を求める方自身にVantageを使ってもらうための機能追加です。

 ビジネスアナリストは、データを分析したいと思っても、これまで自分ではコードを書くことができませんでした。そのためデータサイエンティストに頼んで分析してもらっていたのです。彼らが、わずかのクリック操作で複数のデータソースを基にした分析を実行し、気づきを得ることができます。もちろん自分で納得するまで何度でもやり直すことができます。これによってVantageの利用を一気に拡大し、アナリティクスの民主化を進めることが狙いです。

 つまり、ノンテクニカルな人たちでも使えるというのがVantage Analystの売りです。分析に際して中間のデータ(データマート)を準備することなく、直接データベースのデータを組み合わせてデータの調整(オーケストレーション)を行えますし、分析者が自分好みの分析設定を簡単に作り上げることができます。そして、分析するだけでなく、分析結果を基に直接アクションを起こすことも可能です。

IT部門と事業部門の協力体制が不可欠

──「現場で分析できる」ということをあまりに強調してしまうと、テラデータの顧客既存であるIT部門が「自分たちは不要になるかもしれない」という誤解を招くのではないでしょうか? むしろ、アナリティクス民主化の時代にはIT部門の役割はむしろ企業全体に拡大するはずです。データ分析でビジネスを前に進めるには、社内の分断は避けるべきだと思いますが。

 それにはまったく同意します。Vantageの利用促進は、まさにその課題に直面しています。テラデータは長年大企業のIT部門と近い存在でした。ですが今、彼らの権限範囲が大きく変わってきています。業務アプリが増えて、事業部門が主導するようになっています。今までのようなIT部門中心ではなくなってきたわけです。

 アナリティクスの分野でも同じ波が訪れているのです。ですから、IT部門が疎外されていると思われないようにすることが必要です。「IT部門も事業部門も重要で、一体化したワンsチーム」──ということでバランスをとっていかなければいけません。

 私は、IT部門はデータの中身を知っている、つまりビジネスにこう役立つことができるということを提案できる「データの翻訳者」になっていくべきだろうと思っています。

──だとすれば、Vantageのデータ基盤をフルに生かすために、事業部門とIT部門が同じテーブルで議論をして運用を決めていくことが必要ではないでしょうか。そしてその連携の仕掛けは、テラデータが担うべきでは?

 そういったことは、これまで正式な形では行っていませんが、よいアイデアだと思いますのでやってみようかという気になりました。ただし、本来は我々が中心にいるのではなく、顧客企業の中でビジネスとITをつなぐ、それぞれの考えを汲んで相互をつなぐ役割の人材がいなければいけません。先ほどは翻訳者と言いましたが、その役割を我々は「ビジネスアーキテクト」と呼んでいます。

●Next:高度なアナリティクスが可能にする自社経営の精緻な分析

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