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独自技術とディープラーニングで、肌の状態分析やダメージ予測─花王とPFNが実証実験

2019年11月21日(木)IT Leaders編集部

花王とPreferred Networks(PFN)は2019年11月20日、共同実証実験「Kao×PFN皮脂RNAプロジェクト」を開始した。花王の「皮脂RNA(リボ核酸)モニタリング技術」にPNFのディープラーニング技術を組み合わせて、美容カウンセリングや医療・ヘルスケアサービスの構築を目指す。同日、花王本社での記者説明会で詳細が説明された。

 人体を形成する“材料”であるタンパク質を作るのに必要なRNA(Ribonucleic Acid:リボ核酸)。「DNAの情報の一部をコピーし、食生活や運動、紫外線、ストレスなど、さまざまな環境情報を引き連れてたんぱく質を作る」(花王 代表取締役 専務執行役員 長谷部佳宏氏)という遺伝子発現情報だ。

 DNA(DeoxyriboNucleic Acid:デオキシリボ核酸)が個々人固有のものとして一生変化しないのに対し、RNAは体調や環境によって日々変化するという特徴を持つ。肌の性質を調べる際、DNAは生まれながらに持つ肌質を捉えるのに有用で、RNAは環境要因により変化する肌の状態を知るのに有用となる。

 花王が開発し、2018年に5つの技術イノベーションの1つとして発表した「皮脂RNAモニタリング技術」は、顔の皮脂からRNAを単離し、肌の内部状態を分析・モニタリングする技術。従来は皮膚を外科的に切り取るなど被験者の負担が大きい方法でしか採取できなかったところ、同技術では、市販のあぶら取り紙で拭くだけで、1万3000種類のRAN発現量を採取できるという。

 採取に用いた脂取り紙はRNA溶液に浸して精製、人のRNAだけを特異的に検出する次世代シーケンサーで網羅解析を行い、ヒートマップ形式で可視化する(図1)。

図1:RNAモニタリング技術で解析した健常者とアトピー性皮膚炎患者の皮脂中のRNA発現情報の比較(出典:花王)
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 この皮脂RNAモニタリング技術を用いて採取・可視化したRNA発現情報から、肌や皮膚、体内因子の状態を正確に推定することを目指すのが、花王とディープラーニングに強みを持つPreferred Networks(PFN)との共同実証実験プロジェクト「Kao×PFN皮脂RNAプロジェクト」だ。

 PFNは、これまでの肌測定・解析技術では把握できなかった肌内部の因子情報の予測を行うための、ディープラーニングによる予測モデルを構築する。同社によると、取得されたデータから一部の結果が得られ、すでに美容に関する120の項目のうち、104項目については高い予想精度を実現できているという。

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