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SMBC日興証券、金融特化のAI翻訳システムを開発、海外投資家向けの金融情報発信を強化

2020年1月15日(水)日川 佳三(IT Leaders編集部)

SMBC日興証券と国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は2020年1月15日、金融分野に特化したAI自動翻訳システムを開発したと発表した。翻訳精度スコアBLEUの値が従来の13.1(主旨を理解するのが困難)から42.8(高品質な翻訳)へと向上した。

 SMBC日興証券とNICTは、投資情報をAIで自動翻訳するシステムを共同で開発した。SMBC日興証券が持つアナリストレポートの日英対訳データをNICTの自動翻訳エンジンに学習させることによって、金融分野に特化したAI自動翻訳システムを開発した。アナリストレポートを対象とした汎用AI翻訳と金融特化AI翻訳の具体例は、表1の通り。

表1:アナリストレポートを対象とした汎用AI翻訳と金融特化AI翻訳の例(出典:SMBC日興証券、国立研究開発法人情報通信研究機構)
入力 H形鋼と熱延鋼板に関しては、鉄屑市況の上昇分をカバーする水準まで上昇しそうだ。
汎用AI翻訳 The prices of H-shaped steel and hot-rolled steel are expected to rise to levels that will cover the rise in the steel scrap market.
金融特化AI翻訳 For H-beams and hot-rolled sheet, we expect prices to rise to levels that offset the rise in steel scrap prices.

 金融に特化したことで、従来の汎用AI翻訳と比べて、翻訳精度スコアBLEUの値が13.1から42.8へと向上した。翻訳精度スコアBLEUは、同じ入力に対する、人間が作成した参照訳と自動翻訳の訳文の類似度を測る尺度である(図1)。スコア10点台は「主旨を理解するのが困難である」という評価であり、スコア40点台は「高品質な翻訳」という評価になる。

図1:翻訳精度スコアBLEUの値の評価(出典:SMBC日興証券、国立研究開発法人情報通信研究機構)図1:翻訳精度スコアBLEUの値の評価(出典:SMBC日興証券、国立研究開発法人情報通信研究機構)
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 SMBC日興証券は今後、AI自動翻訳システムを実用化し、海外投資家向けの金融情報発信を強化する。英語版アナリストレポートの発行時間を短縮するほか、レポートの数を増やす予定である。

 背景には、アナリストレポート英訳版に対する投資家のニーズが高まっている状況がある。金融情勢の変化は激しく、投資情報をいち早く入手することが競争力を高めるカギになる。こうした中、東証一部の売買金額の約7割を海外投資家が占めるなど、海外投資家が日本の情報をいち早く得たいと考えている。

 今回のAI自動翻訳システムの開発は、NICTが運営する「翻訳バンク」のスキームを利用した。自動翻訳の精度を高めるためには翻訳データ(対訳データ)の質と量の影響が大きいことから、高品質な翻訳データを大量に確保することが重要となる。翻訳バンクは、翻訳データを集積する取り組みである。

 なお、NICTは、AI自動翻訳技術の研究開発を推進し、研究成果である高精度自動翻訳システムを「TexTra」と名付けて公開している。公開サイト「みんなの自動翻訳@TexTra」では、WordやPowerPointのファイルを直接翻訳するなど、各種の方法で翻訳精度を試せる。

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SMBC日興証券、金融特化のAI翻訳システムを開発、海外投資家向けの金融情報発信を強化SMBC日興証券と国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は2020年1月15日、金融分野に特化したAI自動翻訳システムを開発したと発表した。翻訳精度スコアBLEUの値が従来の13.1(主旨を理解するのが困難)から42.8(高品質な翻訳)へと向上した。

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