[調査・レポート]

2020年度のIT予算、回答企業の4割が増加を見込む─JUAS「企業IT動向調査2020」速報値

2020年2月7日(金)IT Leaders編集部

一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)は2020年1月21日、年次のITユーザー調査「企業IT動向調査2020」の「IT予算の速報値」を発表した。2020年度の予測で、自社のIT予算が10%以上増加すると回答したユーザー企業は全体の15.4%。10%未満の増加と答えた企業と合わせて、全体の4割がIT予算の増加を見込んでいる。JUASは、2019年度調査での予測を下回るものの、IT予算の増加傾向が2020年度も維持される見通しだとしている。

 JUASによると、2019年10月に調査を行った「企業IT動向調査2020」の最終集計・分析結果は2020年4月に発表する予定だが、IT戦略立案や予算策定の一助となるために、IT予算に関する速報値を先行して発表した。

 企業IT動向調査は、JUASが1994年度から継続して実施している年次のITユーザー調査である。2020年度版の調査期間は2019年9月13日から10月11日、調査対象は、東証上場企業とそれに準じる企業の4000社。うち、Webアンケートで721社、調査票郵送で249社、計970社より有効回答を得ている。今回のIT予算およびIT投資で解決した経営課題に関する有効回答数は960社だった。

2019年度に比べIT投資の勢い衰えるも、増加傾向は維持

 2020年度のIT予算を前年度に比べた場合の増減を聞いたところ、15.4%の企業が10%以上増加すると回答している(図1)。10%未満増加の25.3%を加えると、40.7%の企業が増加すると回答していることになる。

図1:2020年度IT予算の増減(前年度比)(出典:日本情報システム・ユーザー協会「企業IT動向調査2020」IT予算の速報値)
拡大画像表示

 2019年度の調査では10%以上増加が21.3%、10%未満を合わせると50%近くの企業が増加すると回答していたので、増加の勢いは衰えているように見える。しかし、IT予算を「増やす」割合から「減らす」割合を差し引いたDI(ディフュージョンインデックス)値を見ると、2018年度が27.0ポイント、2019年度が37.4ポイント、2020年度が27.5ポイントとなり、Windows 7のサポート終了や消費税増税の特需があった2019年度をはさんで、IT予算の増加傾向は維持されているとしている。

 売上高別にみると、10%以上増加する、あるいは10%未満増加すると答えたのは1兆円以上の企業が42.1%、1000億円から1兆円未満が52.5%、100億円から1000億円未満が41.0%、100億円未満が30.9%だった(図2)。

 DI値でも1000億円から1兆円未満の企業が37.4ポイントと、IT投資への意欲の高さがうかがえる。DI値が21.0ポイントで最も低かった100億円未満の企業は2019年度の35.8ポイントから14.8ポイントも低下している。JUASでは企業業績の先行きにいち早く反応した結果だとみている。

図2:売上高別 2020年度IT予算の増減(2019年度比)(出典:日本情報システム・ユーザー協会「企業IT動向調査2020」IT予算の速報値)
拡大画像表示

 業種グループ別では、建築・土木のIT投資意欲の高さが目立った。10%以上増加する、あるいは10%未満増加すると答えたのが50.7%、DI値も40.6ポイントで最も高かった(図3)。建築・土木の2019年度のDI値は33.9ポイントで、全業種グループで唯一前年度を上回った。一方、2019年度のDI値が51.4ポイントで最も高かった金融グループは0.0ポイントと大幅に減少している。これは2019年度の反動減だとしている。

図3:業種グループ別 2020年度IT予算の増減(2019年度比)(出典:日本情報システム・ユーザー協会「企業IT動向調査2020」IT予算の速報値)
拡大画像表示

●Next:最も優先度の高い経営課題とは?

この記事の続きをお読みいただくには、
会員登録(無料)が必要です
  • 1
  • 2
関連キーワード

JUAS / 企業IT動向調査

関連記事

トピックス

[Sponsored]

2020年度のIT予算、回答企業の4割が増加を見込む─JUAS「企業IT動向調査2020」速報値一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)は2020年1月21日、年次のITユーザー調査「企業IT動向調査2020」の「IT予算の速報値」を発表した。2020年度の予測で、自社のIT予算が10%以上増加すると回答したユーザー企業は全体の15.4%。10%未満の増加と答えた企業と合わせて、全体の4割がIT予算の増加を見込んでいる。JUASは、2019年度調査での予測を下回るものの、IT予算の増加傾向が2020年度も維持される見通しだとしている。

PAGE TOP