[調査・レポート]

欧米の大企業で「攻めのIT」投資が加速─State of Tech Spend 2020解説[前編]

グローバルIT支出調査「State of Tech Spend Report 2020 from Flexera」

2020年3月2日(月)西浦 詳二(SoftwareOne Japan シニア・ダイレクター/@ShojiNishiura)

「State of Tech Spend Report」というグローバルのIT支出動向調査がある。以前紹介したグローバルのクラウド動向調査「State of the Cloud Report」と同じく米フレクセラ(Flexera)が調査・分析を行ったものだ。同社はIT資産管理ソリューションのリーディングベンダーとして知られているが、過去8年間発行され広く活用されているState of the Cloud Reportと同様、客観的な視点から市場・分野動向をまとめた有用なレポートとなっており、しかも無料で入手できる。本稿では1回目の発行となるState of Tech Spend Report 2020のポイントを、所見を加えながら解説する。

欧米企業を中心としたグローバルIT支出調査

 米フレクセラが発表した「State of Tech Spend Report 2020」は、従業員数2000人以上の企業・組織の役員、上級管理職、IT支出全体を把握できる立場の専門家を対象に、調査を基にしている。有効回答数は303で、IT部門に属するスタッフが全体の83%、Cレベル(上級役員)が51%回答している(図1)。

図1:回答者の所属部門・職掌(出典:State of Tech Spend Report 2020)
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 回答者の企業規模別の構成は、従業員数1万人超の企業が56%、同5001~10000人が 20%、同2000~5000人が24%となっている(図2)。業種の構成は図3にあるように広くカバーしており、IT支出に関する全般的な傾向をとらえることができる。

図2:回答者の企業規模(出典:State of Tech Spend Report 2020)
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図3:回答者の属する業種(出典:State of Tech Spend Report 2020)
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 1回目である今回のState of Tech Spend Reportには回答した企業は、北米と欧州が中心となった。日本企業のCIOやITマネジャーにとっては、先進ユーザーの多い両地域を中心としたグローバル動向を把握するに役立つであろう。また昨今、企業IT分野の技術トレンドは日本固有の部分が小さくなってきている傾向と合わせて考えれば、地域差よりも、企業規模や属する業種の差のほうが、より重要かもしれない。

 図4は、本レポートにおける回答者のIT総支出の区分だ。251万米ドル(約270億円)以上のIT支出があるとした企業が全体の39%を占めている。これは、回答者の56%が従業員1万人超の大企業に属していることを考えれば合点がいくが、それだけではない。以下の、図5、図6の2つのグラフを見ていただきたい。

図4:IT総支出の割合(出典:State of Tech Spend Report 2020)
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大企業ほど「攻めのIT」投資を重視する傾向

 図5は、企業の収益に占めるIT支出の割合を企業規模別に見たものだ。一般論として、企業のIT支出は、業種や企業規模、業界内ポジション、地域性などの変動要素はあるにせよ、収益の4%程度が目安とされることが多かった。しかし、今回の調査ではそれを大きく上回り、平均で8.3% という割合が示された。従業員1万人以上の大企業においては9.3%という、一般論を大きく上回る結果となっている。

図5:収益に占めるIT総支出の割合、企業規模別(出典:State of Tech Spend Report 2020)
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 図6は、その割合を業種別に見たものだ。ソフトウェア企業やホスティング事業者が図抜けているは当然として、他の業種においても軒並み高い比率となっている。今回の調査の中で最も対売上比率が低かった産業用製品業種においてすら、従来言われている4%を超えている。

図6:収益に占めるIT総支出の割合、業種別(出典:State of Tech Spend Report 2020)
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 この結果から、欧米の企業が、主に現状維持のための「守りのIT」以上に、デジタルトランスフォーメーション(DX)、サイバーセキュリティ、クラウドファースト/クラウドマイグレーション(移行)といった、現在進行中の高い戦略性を持つ「攻めのIT」に対し積極的な投資を行っていることがうかがえる。

●Next:「分散したIT調達」、シャドーIT、IT支出適正化の実態が浮き彫りに

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