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[調査・レポート]

働き方改革に伴うシステム導入を実施している企業は3割弱にとどまる―JIPDECとITRが調査

2020年3月16日(月)日川 佳三(IT Leaders編集部)

一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)とアイ・ティ・アール(ITR)は2020年3月16日、国内企業のIT/情報セキュリティ責任者を対象に実施した「企業IT利活用動向調査2020」の一部結果を速報として発表した。働き方改革を経営目標として掲げている企業が半数近くに上る一方で、テレワーク制度や在宅勤務制度を整備している企業は3割を下回り、働き方改革にともなうシステム導入を実施している企業は3割弱にとどまる。

 JIPDECとITRは、2020年1月14日から1月20日にかけて、Webアンケート調査「企業IT利活用動向調査2020」を実施した。働き方改革に関する企業の取り組みとシステムのクラウド移行、クラウド移行の不安要素の1つとなる情報セキュリティや個人情報保護、などについて聞いた。従業員数50人以上の国内企業に勤務し、IT戦略策定または情報セキュリティ施策に関わる課長職相当職以上の役職者約5000名に回答を呼びかけ、878名の有効回答を得た(1社1名)。

 調査によると、働き方改革を経営目標として掲げている企業は45.8%と半数近くに上り、検討中を含めると約8割に達した。しかし、テレワーク制度や在宅勤務制度を整備している企業は、ともに3割を下回り、検討中の企業を含めて5割強となった。働き方改革にともなうシステム導入を実施中とした企業は3割弱、検討中が3割強という状況にある(図1)。

図1:働き方改革に関する企業の取り組み状況(出典:一般財団法人日本情報経済社会推進協会、アイ・ティ・アール)図1:働き方改革に関する企業の取り組み状況(出典:一般財団法人日本情報経済社会推進協会、アイ・ティ・アール)
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 システムのクラウド化の状況を見ると、クラウドサービスを利用している企業は9割近くに上るが、利用範囲が一部のシステムにとどまる企業が約半数を占めた。半分程度のシステムで利用している企業は18.1%、大半のシステムが15.4%、全システムでクラウドサービスを利用している企業は3.5%にとどまった。

 過去1年間の情報セキュリティインシデントの認知状況では、例年通り、「従業員によるデータ・情報の紛失・盗難」、「社内サーバー/PC/スマートフォンなどのマルウェア感染」、「モバイル端末(PC/タブレット/スマートフォン)の紛失・盗難」が多く、20%を超えた。

個人情報保護への関心が高まる

 今回は、この上でさらに「個人情報の漏洩・逸失(人為ミスによる)」(19.7%)、「個人情報の漏洩・逸失(内部不正による)」(10.8%)、「個人情報を巡るトラブルの発生(目的外利用、開示請求への対応など)」(12.8%)といった、個人情報に関するものに増加傾向が見られた。

 改訂予定の個人情報保護法に対する企業の関心は、2019年の調査と同様、「個人識別符号の定義と範囲、取り扱い」が最も高く、「要配慮個人情報の定義と範囲、取り扱い」が続いた。また、「取り扱い個人情報5000件以下の企業への適用」への関心は2019年調査から約6ポイント上昇した。

 現在検討されている「個人データの利用停止請求権の拡大」(15.9%)と「漏洩時の罰金の引き上げ」(9.5%)については、企業の関心は比較的低かった。

 GDPRに対する意識は、2019年の結果と比べて、「個人情報は移転しないようにしている」や「GDPRを気にすることなく移転を行っている」企業が若干ながら減少し、代わって「GDPRにのっとったかたちで適正に個人情報の移転を行っている」企業が増加した。

 システムのセキュリティ面の脆弱性を検査して問題点を報告する情報セキュリティ監査を実施している企業の割合は、不定期の実施も含めれば、2019年の調査では7割程度だったが、今回の調査では9割超と大きく拡大した。背景について同社は、サイバー攻撃だけでなく、個人情報の漏洩・逸失などのセキュリティ関連のトラブルが増加していることを挙げる。

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