[インタビュー]

既存の経営/ITコンサル会社と何が違う? 米スラロームの幹部に内実を聞く

2020年3月24日(火)田口 潤(IT Leaders編集部)

以前の記事で、公開情報を元にスラロームコンサルティング(Slalom Consulting)という米国の企業を紹介した。経営コンサルティングともITコンサルティングとも異なる“DX特化型のコンサルティングファーム”という点に興味を持ち取り上げたのだが、記事を見た同社から「お聞きしたいことを話しますので、インタビューしませんか?」という打診があった。直接、同社の幹部に内実を聞ける機会なので早速訪ねてみた。

世界27カ国に展開、日本進出を準備中

 経営戦略コンサルティング会社やITコンサルティング会社がひしめく米国で、米スラロームコンサルティング(Slalom Consulting)は、AWS(Amazon Web Services)やマイクロソフト、スターバックスなど多くのグローバル企業をクライアントにし、毎年、高い成長を遂げている(業績は非公開)。先月、その概要を関連記事「DXに特化したコンサル」が日本進出へ─米Slalom Consultingの強みは?で紹介した。

 上記の記事でお伝えしたように、スラロームは現在、北米に加えて世界27カ国でサービスを提供し、日本でも拠点を準備中だ。成長の原動力は何か。既存の経営/ITコンサル会社と何が違うのか。「働きがいのある会社ランキング」などの常連である要因は何か。そういったことを聞いてみた。

 インタビューに応じてくれたのは、カイル・クルーズ(Kyle Kruse)氏(写真1)。スラロームでPacific North West, Mountain and JapanのRegional GM(ゼネラルマネジャー)を務める人物である。日本市場進出を統括する保坂隆太氏(Market Launch Lead, Japan)による補足も含めて、一問一答形式でお届けする。

写真1:米Slalom ConsultingでRegional GM, Pacific North West, Mountain and Japanを務めるカイル・クルーズ氏

 結論を先に書くと、突飛な何かがあるわけではないが、ちょっと変わっているところがある会社だった。上記記事で取り上げた「ローカルデリバリーモデル」という事業方針がその1つであり、”ピープルファースト(社員最優先)”や”サーバントリーダーシップ(経営が社員に奉仕する)”といったスローガンもある。これらの意味は後に説明するとして、相当の規模(7000人規模)になった現在でもそれらを維持しているという。「顧客満足のためには、まず社員満足を」とはよく言われることだが、それを地で行く会社と言っていい。

”モダンテクノロジー”しか扱わない

──スラロームコンサルティングは、自社のことをどう説明しているのでしょう。他のコンサルティング会社との違いはどんなところですか。

 いろいろあります。まずローカルの顧客に対してローカルのコンサルタントをアサインし、長期にわたる関係を築く「ローカルデリバリーモデル」が挙げられます。これは、コ・クリエーション(Co-Creation:共創)やワークトゥギャザー(Work Together:協同)につながります。遠くの知らないクライアントから依頼を得てリモートで仕事をするのではなく、同じ地域にいてサービスを提供することに価値があるわけです。

 トップクラスのタレント(コンサルタント)は、プライベートの時間や生活を重視しますし、わざわざ出張したいと言う人はほとんどいません。ですから優秀なタレントを採用できますし、事実、採用の謳い文句として長年、出張しなくていいですよと伝えてきました。

 とはいえ、技術や経験はほかのロケーションでも通用しますから、今ではまったく別の場所で仕事をしたいと考えるタレントもまた、増えています。それもあってグローバルに展開していますが、別の場所で仕事するのはあくまで自発的意思であり、指示したり命令することはありません。実のところ、日本にも米国からすでに30~40人が来ていますが、「東京など日本で仕事をしたい」と手を挙げた人たちだけです。ローカルで採用し、仕事をする方針は今もまったく変えていません。

 ”モダンテクノロジー”にフォーカスしているのも特徴かもしれませんね。モダンテクノロジーとは、例えば、AWSやMicrosoft Azure、Salesforce.com、Google Cloudといったクラウドサービスのことですが、他のコンサルティング会社はオンプレミスのシステムやSAP ERPを含めて、もっと幅広くサポートしています。我々はモダンテクノロジーにこだわり、そこから外れるテクノロジーを手がけません。

 もう1つ、スラロームは、SIをやったりオペレーションを受託したりする考えもありません。コントラクト(Contract:請負)で大きなビジネスを獲得するのは、我々のビジネスモデルにはないのです。常に顧客と一緒にプロジェクトを遂行し、コ・クリエーションすることがミッションです。

●Next:SIやオペレーションを手がけない理由は?

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