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[市場動向]

IPA、ガイドライン文書「情報システム・モデル取引・契約書」のアジャイル開発版を公開

2020年3月31日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は2020年3月31日、ユーザー企業とITベンダーの間で取り交わす契約内容のガイドライン文書「情報システム・モデル取引・契約書」をアップデートし、アジャイル開発を外部委託で行うケースを想定したバージョンを公開した。

 「情報システム・モデル取引・契約書」は、経済産業省が2007年に公開した、ユーザー企業とITベンダーの間で取り交わす契約内容のガイドライン文書。IPAは、デジタル変革の進展などを契機に、2019年5月からガイドライン文書を見直している。

 2019年12月には、2020年4月に施行が始まる改正民法に関係する論点を見直したバージョンを公開している(関連記事IPA、ユーザー企業とITベンダーの契約モデル文書の改訂版を公開、2020年4月の民法改正を反映)。

 今回、アジャイル開発を外部委託する際のモデル契約を検討し、アジャイル開発版の「情報システム・モデル取引・契約書」を公開した(図1)。全64ページのPDF文書である。ユーザーとベンダーの双方がアジャイル開発の特徴を理解した上で、両者が緊密に協働しながら適切に開発を進めることができるモデル契約を目指した。

図1:アジャイル開発の流れ・体制と、アジャイル開発版「情報システム・モデル取引・契約書」の対象範囲図1:アジャイル開発の流れ・体制と、アジャイル開発版「情報システム・モデル取引・契約書」の対象範囲
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 アジャイル開発版の作成にあたっては、「モデル取引・契約書見直し検討部会」および「DX対応モデル契約見直し検討WG」を設置して検討した。ユーザー企業、ベンダー企業、業界団体、法律専門家の参画を得て検討を重ねた。

契約前チェックリストや開発プロセスの詳細資料を用意

 IPAが今回公開したアジャイル開発版の特徴の1つは、準委任契約を前提としていることである。

 アジャイル開発は、開発対象全体の要件や仕様を確定してから開発を行うウォーターフォール開発とは異なり、開発プロセスの中で機能の追加・変更や優先順位の変更、先行リリース部分の改善などに対応できる。

 このため、アジャイル開発版では、あらかじめ特定した成果物の完成に対して対価を支払う請負契約ではなく、ベンダー企業が専門家として業務を遂行すること自体に対価を支払う準委任契約を前提とした。

 特徴の2つめは、アジャイル開発に関する理解を共有するための資料構成を採用したことである。ユーザーとベンダーの間でアジャイル開発に関する認識の齟齬を生まないように、補足資料を提供している。

●Next:「契約前チェックリスト」(Excel)と「アジャイル開発進め方の指針」(PowerPoint)も用意

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