[エンタープライズ・システムのためのWeb 2.0]

エンタープライズ2.0に求められるサーチ機能

2007年10月2日(火)ファストサーチ&トランスファ

過去から現代に至る情報量の増大過程において、現時点においてすでに「情報の爆発」が起こっている。「情報の爆発」によっていったい何が起ころうとしているのだろうか。おそらくこの現象が、エンタープライズ2.0のすべての根元だと考えられる。通常の手段では管理できないほどの情報が溢れ、そこから有意な情報を見つけ出す、あるいは発見するために検索、ここでは特にエンタープライズサーチが有効な手段であることを紹介する。

エンタープライズ2.0の背景

まず、過去から現代に至る情報量の増大過程を見ておこう。この図は、UCバークレーが毎年出している「デジタルコンテンツの伸び具合」を示した資料である。最初は紀元前からスタートして、文字や紙が出てくる。いわゆる紙の世界から始まって、現時点において「情報の爆発」が起こっている。図に示されている「情報の爆発」とは一体何なんだ(何が起ころうとしているのか)というところが、エンタープライズ2.0のすべての根元だと考えられる。

図1:情報爆発

今、インターネットで1人がブログを立ち上げた時点で、世界の情報量の増加に貢献することになる。印刷機械が世界中に普及するまでに100年近くかかっているのに比べ、現代は、すさまじいスピードで情報量が肥大している。膨大な情報量が与える影響がどれだけ大きいのかということは、私たち自身が実感していると思う。

この影響はどこに向かっていくのか。一番怖いのは、右肩上がりに上がっている情報量がどこで飽和するのかまったく見えていないことだ。明らかなのは、ここ数年でデータやコンテンツの数が急激に増え、ほとんどの人が影響を受けるほどのインパクトを与えていることだろう。

特に非構造化データの増加は著しく、1人ひとりの考えがブログなどによってアウトプットされていると考えると、情報量の増加は留まるところを知らない。そして情報量が増えているということは、ユーザー自身が生成したコンテンツが実像化しているともいえるのではないだろうか。

この図をみても、どの時点で飽和状態になるのか、私にはまったく検討がつかない。おそらくこの伸びが飽和する5年後か10年後といった将来において、その時代から我々の時代を振り返ると、非常にローレベルの状態であろう。顔を突き合わせて話しをしていた情報石器時代から、次の第一ステップがウェブ2.0であり、そのビジネスの第一段階がまさしく「エンタープライズ2.0」なのではないかと考えられる。

エンタープライズ2.0:ユーザ基点のオープン指向が価値創出資産を形成

これだけ情報が膨大になると、人間性や行動様式そのものも変化しつつある。携帯の普及によって、(最近の特に若い人は)直接話すよりも、メールでのやり取りが多くなってきている。付き合っている友達の量は十年前に比べると、確実に増えているという。情報量の増加は、人間性自体を変化させるところまできているのではないだろうか。このように行動パターンが変化していくと、おのずと商品パターンも変化していく。

図 価値創出型資産の形成

「価値創出型資産」という表現を使用しているが、これはユーザーが生み出した膨大な情報が、一定の条件を満たすことによって、企業にとって価値を創出する資産になるということだ。「価値創出型資産」の図の左側にあるように、情報は「継続的な拡張を続けていくコンテンツ」と考えている。情報の飽和は始まったばかりで、いつ爆発するのかわからない。右側がその爆発に対して、どのようにコンテンツを管理していくのか、見る人々がどういう形でみるのかという「コンテンツ管理・コミュニティサービス」。一番重要な条件が、上の部分にある「ユーザーのニーズ変化に迅速に対応」する部分である。携帯やPCなどどこからでも情報にアクセスできるというのが、図の下「制約フリーなユーザー環境」である。これらが、「エンタープライズ2.0」のベースになるのではないかと考えている。

エンタープライズ2.0に求められるサーチ機能

サーチ機能の大きなテーマは「何を検索するのか」ということだ。私たちは、ネットにつながるものは、基本的に「すべて検索できるべきである」、と考えている。サーチ機能は、当初サイトのホームページが見られればいい、という考え方からスタートしているが、公式サイトやブログは当然ながら、今はマルチメディア的なものを見られることが必要条件となっている。今後はRSSフィードやデータストリーム、携帯のリアルタイムの音声を聞くことも必要条件となるだろう。たとえば、アメリカの諜報機関関係の方などは、人名、地名などをリアルタイムでチェックする「プッシュ型サーチ」などと呼ばれる検索を行い、テロの兆候を捉えようとしている。

図 情報検索統合化プラットフォーム

図の左側は、SAP、オラクルなどのERPなどに蓄積された構造化データである。過去のビジネスインテリジェンスというのはERPに蓄えられた数値データ、あるいはCRMに蓄えられた数値データだが、これらは可視化されなければならない。基本的には、つくる段階から「見える」ということを前提に製品は設計されるべきである、ということを表している。

検索の必要条件は、eメール、Notes、あるいはナレッジ系、パワーポイント、エクセルと、ネット上にあるものはすべて見ることができることだ。ネット上にあるものを、すべて設計するときに取り込み、検索の対象にしている。

それに対して図上のほうが検索結果をビジネス上に反映する際に、具体的にどのように行うのか、それが特許情報の場合や知的所有権の場合はコンプライアンス上、どう見るのか(あるいはどう表現するのか)という役割のためにアプリケーションが存在している。

最も規模の大きい海外の政府関係の顧客は、取り込みの対象データがギガ、テラを超えて10ペタバイトの規模に来ている。情報の伸びをみると、一部の先端の政府系の企業であれ、大企業であれ、ペタを超えるのは時間の問題ではないかと考えられる。

こうした場合、我々はどう対応することができるのだろうか。ある欧米系の情報機関の企業では、図にあるサイト検索、モバイル検索、Eコマース検索と並んでいるところを、預金・貸付・外為系といったものに置き換えて動いているケースがある。これはどういうことかというと、ある大手の企業の場合、たとえば勘定系であれ、手作りのツールであれ、SAPやオラクルもすべてトランザクションが発生する。更新系は従来どおり既存のデータベースシステムに任せ、リアルタイムに処理を行っている。しかし、ひとたびデータが更新された後の状態では、検索する「サーチプラットフォーム」の形にする、という企業が最先端では現れてきている。これはリサーチセンターの企業で発生しており、特に金融関係で志向することが多い。

様々な取り込みデータ自体が、頻繁におきるM&A等の影響で、勘定系も元A社、元B社、というように勘定系の顧客情報を三種類も四種類も違った形で構築している。これを統合するのは非常に大変な作業なので、既存の情報系に関しては、元のまま構築し、読み込み系だけはサーチインデックスを作り、名寄せして統合するという手法がとられている。

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