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[調査・レポート]

ガートナー、2009年に注目すべき10の戦略的テクノロジーを発表

2008年10月28日(火)IT Leaders編集部

米ガートナーのアナリストは2008年10月14日、2009年以降に企業ユーザーにとって戦略的に重要な意味を持つ10のテクノロジーを発表した。ホテルグランパシフィックLE DAIBA(東京・台場)で10月27~29日まで開催中のGartner Symposium/ITxpo 2008(主催:ガートナー ジャパン)において公開している。

 ガートナーでは、今後3年間の中長期戦略において企業が大きな影響を受ける可能性を持つテクノロジーを「戦略的テクノロジー」と定義。企業はこれらを10の機会ととらえ、新しいテクノロジーが持つビジネス価値を理解、評価するためのプロセスを確立する必要があるという(関連記事「仮想化やクラウドのテクノロジートレンドを見逃してはならない」─ガートナー)。

 ガートナーによる、2009年に注目すべき10の戦略的テクノロジーとその概要は次のとおり。

  1. 仮想化 - サーバー仮想化だけでなく、ストレージ、クライアント・デバイスの仮想化によってコストの大幅な削減が可能。ホスト型の仮想イメージはブレード・ベースのPCに相当する環境を提供する。ただし、ターゲットとするユーザー層が2010年までにホスト型仮想デスクトップ機能を利用する割合は40%に満たないだろうとしている。
     
  2. クラウドコンピューティング - 特徴として、1)各種機能を「サービスとして」提供、2)拡張性と柔軟性に優れた環境でサービスを提供、3)インターネット技術と手法を利用してサービスを開発・提供、4)外部顧客への提供を念頭に置いたデザインが挙げられる。小規模な企業にとっては潜在的なコスト面のメリットのほか、このモデルが持つ柔軟性と拡張性によって導入のハードルが低くなり、迅速な成長も可能となる。
     
  3. サーバー(ブレードを超えたもの) - ブレード・サーバーを超える進化によって、ニーズの高まりに応える能力のプロビジョニング(対応)も簡単に行えるようになる。企業はメモリなど各種リソースを別々に管理し、供給不足となった場合にそのリソースだけを補充できるため、不適切な構成や不要なリソースなどの「無駄」が少なくなり、サーバー環境全体の利用効率が高まる。
     
  4. Web指向アーキテクチャ(WOA) - 現在、アジャイル(俊敏)かつ柔軟で相互運用性と拡張性を兼ね備えたサービス指向環境の最高の例は「インターネット」だと考えられる。インターネット/Webアプローチが本来持ち合わせているデザイン上の基本原則に加え、常に進化を続けるWeb中心アプローチによってエンタープライズ・ソリューションは今後5年間で利用が進むと見込まれる。
  5. エンタープライズマッシュアップ - エンタープライズ企業は、マッシュアップをWebにおける最先端の趣味の領域からエンタープライズレベルのシステムへと取り込み、ビジネスモデルの支援に活用する方法を模索している。2010年を通じ、マッシュアップ製品環境は流動的で大幅な統合が進むと考えられるため、企業はこの領域がもたらす潜在的な価値の調査・検討が必要。
     
  6. 「特化型」システム - HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)の分野では、非常に高い処理負荷が求められる環境をサポートするため、異種環境システムが新たなトレンドになりつつある。このアプローチは、最終的に汎用コンピューティング市場に行き当たる。必要な機能を実行するために所有者がソフトウェアをインストールするサーバー・システムが注目されるようになる。
  7. ソーシャルソフトウェアとソーシャルネットワーキング - ソーシャルソフトウェアには、ソーシャルネットワーキングやソーシャルコラボレーション、ソーシャルメディア、ソーシャルバリデーション(社会的検証)など幅広いテクノロジーが含まれる。企業は従来のWebサイトやアプリケーションに社会的側面を加えることを検討するとともに、ソーシャルプラットフォームを後回しにすることなく早期に採用する必要がある。
     
  8. ユニファイドコミュニケーション - アプリケーションサーバー能力の向上と、一般的なサーバーおよびOSへの通信アプリケーション自体の全般的なシフトにより、通信業界の各市場が大規模な統合へと向かう。通信機能の各カテゴリの入れ替わりや統合に備え、企業は詳細なプランの定義や、適切な管理チームの統合をあらかじめ実行しておくことが必要。
     
  9. ビジネスインテリジェンス(BI) - BIは、企業の業績に直接的なプラスの効果をもたらし、ビジネスのあらゆるレベルにおける意思決定を支援して、企業のミッション達成能力を劇的に高める。ビジネスの立案者および意思決定者となるビジネスマネージャーとナレッジワーカーを対象としており、特に戦略的な意味合いが強い。
     
  10. グリーンIT - 各種規制は増加の一途にあり、環境への影響が厳しい目にさらされる状況下でグリーンITは企業にとってデータセンター構築における重大な制約要因となる恐れがある。企業は各種規制を考慮するとともに、データセンターおよび処理能力に対するニーズの高まりに応える代替プランを検討する必要がある。

ガートナージャパン
http://www.gartner.co.jp/

米ガートナー
http://www.gartner.com

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