[要求仕様の美学]

「問題とは何か」を理解し、適切な発見方法を確立する:第8回

2009年5月8日(金)福田 修

要求定義の前提になるのが、経営上や業務上の問題の発見と解決策である。ところが、その問題の定義が曖昧なことが多い。そこで今回は「問題とは何か」を示し、適切な定義方法を説明する。

システム開発プロジェクトの現場では時々、首をかしげたくなることが起こる。一例をあげよう。8人ほどのチームを率いるリーダーに、PMが「問題点を報告して下さい」と問う。そうすると「進捗が3日ほど遅れています」という答えが返ってくる。遅れている理由を聞くと、「仕様書の精度が低く、(メンバーが)理解するのに時間がかかっています」と言う。

そこで仕様書の精度が低い理由を問うと、「分かりません」で終わる。これではリーダーとして頼りないし、PMも手の打ちようがない。

別の例もある。プログラムの開発局面で、あるPMはプロジェクト推進チームから「用紙の消耗が増加している」と報告を受けた。通常はA4用紙500枚を一週間に10包みほど消耗するのだが、それが2倍になっているという。「プリンターが不足しているので買い増して欲しい」という要望もあった。

状況を知るため、PMは開発ルームに出向いてエンジニアたちの仕事ぶりをしばらく観察した。廃棄用紙の置き場は文字通り、溢れんばかりだった。なぜそうなのかを見ていくと、プログラムのテストを行うたびに、その結果を印刷している。テスト結果をみながら次のデバッグをやりたいのだという。

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