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[ユーザー事例]

JTB、40年使い続けたメインフレームをオープンへ移行、基幹系プラットフォームを刷新

進化するITプラットフォーム Part8

2009年6月19日(金)IT Leaders編集部

どんなシステムにも寿命、あるいは移行期が到来する。2009年4月、JTBは40年にわたって使い続けてきたメインフレームとトランザクション処理専用OSから、オープン系へと完全移行を実施した。

 「それでは“ARES”コマンドを投入します。長年、事業を支えてくれてありがとう」。2009年4月8日、数十人の関係者が見守る中、40年間にわたってJTBの事業を支えてきたプラットフォームがシャットダウンされた。

システム停止のセレモニーの様子。後ろ姿(右)はJTB情報システムの佐藤社長、コンソールに座っているのは執行役員の永井雄二氏。TRIPS IIから開発・運用に携わってきたベテランだ
写真1 システム停止のセレモニーの様子。後ろ姿(右)はJTB情報システムの佐藤社長、コンソールに座っているのは執行役員の永井雄二氏。TRIPS IIから開発・運用に携わってきたベテランだ

 ARESとは「オートマチックリスタート」の略。プラットフォームとはIBM9672-RA6と、トランザクション処理専用OS「TPF(Transaction Processing Facility)」である。JTBの日々の業務を支える基幹システム「TRIPS」のプラットフォームは、この時点でIBM System p5 595(OSはAIX V5.3)をメインとするオープン系に切り替わった。

 旅館やホテルの客室予約システムとして開発されたTRIPS Iが稼働したのは1969年。プラットフォームはIBMシステム360×2台、OSはOS/MFTだった。だが高度経済成長下で、処理量や要求機能が急増する。74年にはTRIPS IIにバージョンアップ。ハードにはIBM360モデル158、OSにはトランザクション処理専用の「ACP(Airlines Control Program、現在のTCF)」を選んだ。モデル158は日本IBMの野洲工場製。障害時に対処しやすいという理由で採用したが、当時、ACPはモデル155用しかなく、「我々が一部を書き換えて158上で稼働させた。それ以来、ずっとACPと歩んできた」(JTB情報システム=JSSの佐藤正史社長)。

 TRIPS IIではテレタイプ端末に代えてCRT端末を採用。全日本空輸、東亜国内航空(当時)、日本航空とシステム結合したのに加えて、エース、ルックなどの旅行商品も扱うようになり、総合的な旅行システムに成長した。「システム結合といっても、今のように標準プロトコルはない。異機種、異プロトコル接続を実現するために試行錯誤した」(JSSの永井雄二執行役員)。入力を効率化するページ式のパネル装置やJTBコードと呼ぶオリジナルの漢字コード、専用プリンタなどを、外部のベンダーと協力しながら次々に開発したのも、この頃である。

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