[市場動向]

シマンテックのM&Aポートフォリオ─企業向け事業を拡大、時々のベストを買収し機能強化

メガベンダーの買収戦略

2009年10月22日(木)IT Leaders編集部

世界的な景気低迷の影響で業績が振るわない企業が続出する中にあって、2009年度に過去最高の売上高を記録したシマンテック。同社も近年、M&Aによるテクノロジーの獲得に積極的な姿勢を見せている。

シマンテックは長らくの間、個人向けと企業向けのセキュリティ対策ソフト/サービスを成長の大きな原動力としてきた。そのため、かつてのM&Aのターゲットはネットワーク不正侵入検知のRecourse Technologiesや、システム脆弱性検査のSecurity Focusなど、セキュリティ技術に特化したベンダーが中心だった。

シマンテックのM&Aの方針が変わり始めたのは2005年のことである。この年同社はストレージバックアップソフト大手のベリタスソフトウェアを買収した。それ以後、システム管理やコンプライアンス管理の分野に買収の触手を伸ばしてきた。2005年以降の買収案件を見ると、セキュリティ分野が個人向けを含め2社なのに対し、システム運用管理とコンプライアンス管理の分野はそれぞれ3倍の6社。このことから同社が事業の幅を広げるため、計画的にM&Aを実施してきたことが分かる。

シマンテックが買収した企業を俯瞰すると、大きな方針転換のほかに、もう1つ特徴が見て取れる。ある程度の期間を置いて、機能的に極めて似た製品のベンダーを買収している点だ。例えば、2004年2月に買収したON Technologyと、2007年4月に買収を完了したAltirisのケース。いずれも、パソコンやサーバーを導入/移行する際にソフトウェアを配布したり、修正プログラムの適用状況を管理したりするツールのベンダーである。

一見すると、ERPパッケージを巡るM&Aでよくあるように、ライバル企業の顧客ベースを自社に取り込む目的で、機能が重複する製品を買い足しているかに思える。しかし、数年越しに類似製品を手に入れるシマンテックには、それとは違う狙いがある。「機能がより修練された製品を持つベンダーが出てきた時点で積極的に買収し、主力をそちらに切り替えながら、ラインナップを強化する」(プロダクトマーケティング部の遠藤敦子部長)というものだ。

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