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日本IBM、性能劣化しにくいDBクラスタ「DB2 pureScale」を出荷、スケールアウト性能を武器にオラクルに対抗

2009年11月12日(木)IT Leaders編集部

日本IBMは2009年11月12日、データベース管理ソフト「DB2」の拡張性や可用性を高めるクラスタ製品「IBM DB2 pureScale Feature for DB2 9.7 Enterprise Server Edition」を発表した。ノードを増加してもオーバーヘッドが生じにくい構造にしたことで、112ノード構成の大規模DBシステムでもほぼリニアに性能を高められるという。

競合製品との違い

発表したのは「IBM DB2 pureScale Feature for DB2 9.7 Enterprise Server Edition」。オラクルの「Oracle Real Application Clusters(RAC)」の対抗製品である。RACと同様に、クラスタを構成するすべてのノードがディスクを共有するアーキテクチャを採用している。

RACとの大きな違いは、データの共有方法にある。Oracle RACは複数のノードで分担してデータの所在を管理する。具体的には、個々のノードが「リソースマスター」となって、それぞれ違ったデータの所在を管理する。各リソースマスターを中心にノード間で通信し、複数のノードに分散してキャッシュしているデータの情報を共有する。

一方、pureScaleはデータ処理用ノードと別に管理用ノードを設け、メインフレームで培ったクラスタ技術「カップリング・ファリシティー」を用いてデータの情報を集中管理している。データ処理用ノードと管理用ノードとの間は低レイテンシの通信技術「RDMA」を使って接続する。

この違いからくるpureScaleの優位性について、日本IBMの下垣典弘ソフトウエア事業インフォメーション・マネジメント事業部長は次のように説明する。「データを分けて持つ方式はノード間のオーバーヘッドが大きくなる。オラクルはIPベースのインフィニバンドで高速化を図っているが、レイテンシはRDMAのほうが3ケタほど低い」。ただし、管理用ノードには高い耐障害性が求められる。

製品の性能

米IBMは実証実験で、pureScaleのノードを増やすとDBシステムの性能がほぼリニアに上がることを確認した。32ノード構成で95%以上、64ノードで91%、112ノードで81%の性能を実現した。RACは50ノード構成で60%程度まで低下したとしている。

下垣事業部長は「ラリー・エリソンCEOはメインフレーム版DB2は第一級の技術の1つだと言っている。(その技術を採用した)pureScaleに一目置くことになるだろう」と自信をみせる。

追加可能なノード数は当初、最大128ノード。米IBMでDB2のシニアアーキテクトを務めるアーマー・サチェディナ氏は本誌の取材に応じ、「128ノード以上でも性能をリニアに上げられるアーキテクチャになっている」と話す。

販売戦略と価格

pureScaleはAIXを搭載したUNIXサーバー「Power 550 Express」か「同595」で稼働する。価格は268万2000円(税別)から。2009年12月11日に出荷を始めた。日本IBMはRACからのリプレースを狙うほか、大規模なOLTPシステムの需要を取り込み、今後1年間で100件の導入を目指す。

表 DB2 pureScaleとOracle Real Application Clustersの主な比較ポイント
  DB2 pureScale Oracle RAC
データの共有方法 データの所在やロック情報などを管理用ノードで集中管理 データの所在やロック情報などをクラスタを構成する個々のノードが分担して管理
ノード間の通信 RDMAベースのインフィニバンド IPベースのインフィニバンド
ノード数増加に伴う性能の拡張性 112ノード構成で81%の性能を達成 50ノード構成で60%の性能を達成
RDMA:Remote Direct Memory Access
※IBMの実証結果
関連キーワード

IBM / DB2 / クラスタリング / RDBMS / Oracle RAC / Oracle Database / 可用性

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