[河原潤のITストリーム]

2010年代、IT部門の要諦は「ビジネス変化への対応能力」:第1回

2010年1月6日(水)河原 潤(IT Leaders編集部)

様変わりする国際経済の勢力図、政権交代、長年主流だった物事の仕組みや価値観の変化や終焉——2000年代末に起こった激動の流れを引き継ぎながら、2010年が始まりました。景気の二番底もささやかれる依然として厳しい経済環境の中、企業の行く先にはさらなる激動が待ち受けているというのが、これからの10年=2010年代だと考えるべきかもしれません。政局、法制、景気、気象、災害、そして価値観や消費行動といった不確実性の時代に並ぶさまざまなファクター。これらの変化を読み、的確に対応していくことで市場競争力を維持していくことが経営者のミッションになると思われます。

一方、企業情報システムを取り巻くITの潮流に目を向けると、2000年代の区切りを象徴するような大変動・大変革あるいは終焉は特に見受けられませんでしたが、数年前から次世代IT基盤と目されてきたクラウド・コンピューティングに多くの企業が着目し準備を始めた年であったということは言えるでしょう。

このクラウド・モデルが、ユーザーの意識変革をも求める大きな波であることは確かだと思います。ですが、企業コンピューティングの歴史全体から見た場合には、生産性の向上とビジネス価値創造に向かって進化を続けている企業情報システムの潮流の1つである(1つにすぎない)というのが冷静なとらえ方かもしれません。過去、オープンシステム、クライアント/サーバー・システム、Webアプリケーションといった新しいIT基盤のパラダイムが登場するたびに、IT部門は、絶え間なく変化するITを扱う部門としてのミッションを果たす形でそれらへの対応を遂げてきました。必要となる労力・コストや既存のIT基盤に与える影響の面で、似たような“変化への対応経験”を重ねてきたわけです。

さて、経営とITのかかわりが非常に緊密なものとなってから、かなりの歳月が立っています。何年も前からIT部門には、変化の激しいビジネス環境への対応において、より大きな役割が求められるようになっているのはご存じのとおりです。しかしながら現実には、国内の企業で、文字どおりビジネスの変化に俊敏に対応可能なIT基盤を構築・運用できているところは少数にとどまっています。「IT部門としての役割は、IT自体の変化への対応と各種のシステム/アプリケーション、クライアントPCの運用管理で手一杯」といった企業がまだ多数に上るというのが実情と思われます。

2010年代には、そうした状況を本当に変えていく必要がありそうです。冒頭で申した、今後の企業を待ち受ける激動の数々を考えれば、ビジネス環境変化への対応がIT部門の要諦、主たるミッションになっていくことは必然の流れだと考えられるからです。クラウド・モデルの採用が増えるに伴って企業のIT業務が大きく変わっていくなか、新しいミッションを遂行できるか否かは、IT部門の存在意義にもかかわる重要なポイントとなるのではないでしょうか。

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