[株価から見るIT企業の強みと弱み]

ITソリューション強化により付加価値の拡大を狙う[キヤノンマーケティングジャパン 証券コード8060]

2010年4月12日(月)長橋 賢吾(フューチャーブリッジパートナーズ 代表取締役)

キヤノンマーケティングジャパン(以下、キヤノンMJ)が、ITソリューション事業の強化を急いでいる。同社の主力は、キヤノンが製造する企業向けの複合機や半導体製造装置、消費者向けのデジカメやプリンタなどの販売。ITソリューション事業を強化することで、付加価値の拡大を目論む。この戦略が今後の業績や株価にどう影響を及ぼすのかを考えてみよう。

キヤノンMJのセグメント構成

 キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)の売り上げは現在、(1)複合機の販売や消耗品(トナーなど)、保守を扱うドキュメントビジネス、(2)システム開発・保守・製品販売を扱うITソリューション、(3)コンシューマ向けにデジカメ、プリンタなどを販売するコンシューマ機器、および(4)半導体装置などを販売する産業機器の4分野から構成される(図1)。

図1 キヤノンマーケティングジャパン連結売上高推移(単位:億円)
図1:キヤノンマーケティングジャパン連結売上高推移(単位:億円)


 このうち、コンシューマ機器と産業機器は、製品の競争力に依存するところが大きい。例えばコンシューマ機器。普及型デジタル一眼レフカメラ「EOS Kiss」シリーズなどによる高いブランド力や競争力から、2009年度の営業利益は前年度比+4.9%の107億円と、不況ながらも競争力を維持している。

 一方、シリコンなどに回路を焼き付ける半導体露光装置(ステッパー)を中核とする産業機器では、ライバル企業であるオランダのASML社に技術開発面で遅れをとった。このため競争力が低下し、09年度の産業機器の営業赤字は△11億円を計上した。

苦戦が続くドキュメントビジネス

 これに対し、ドキュメントビジネスやITソリューションは、商品の競争力に加えてソリューションの形で顧客に提供するため、キヤノンMJとして付加価値を付けられる幅が広い。しかし昨今の不況下で、これらの事業をを取り巻く環境は厳しい。

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