[編集部の生産性倍増奮闘記]

「ガント図の共有で臨む締切強化月間」の巻:第13回

2010年4月22日(木)川上 潤司(IT Leaders編集部)

もう少しでゴールデンウィーク。代休や有休を充てて、1週間以上の大型連休にする人も多いのではないでしょうか。そんな世の動きとは対照的に、月刊誌を発行する編集部にとっては、毎年このシーズンが悩みの種。計画的に締切を前倒しにしなければ、本当の「お休み」はやってきません。さて、今年はいかにして進行管理するか…。

 当編集部における締切管理は、これまで至ってシンプルな方法で運用してきました。基本となるのはエクセルで作成する一覧表です。縦軸にコラム名や担当者名を、横軸にカレンダー形式で月日を書き入れたシートが標準フォーマット。ここに、各コラムごとに設定した原稿提出日や校了予定日のマークを記入したものをプリントアウトし、各記者に配付するというものです。

 もっとも、計画表通りに事が進むことは滅多にありません。突発的な取材案件が舞い込んだり、記者が体調を崩したり…。いや、多くの場合は各自のスケジューリングが甘く、「すいません、間に合いません」というのが日常茶飯事。そんなこんなを織り込みつつ、日々、口頭で進行状況を確認しながら、ローリングプラン(と書くとカッコ良いが、要はつじつま合わせ案)を練り、何とか最終校了日に間に合わせる、というのが毎度のパターンです。


画面1:これまで編集部では、エクセルで作成した締切一覧表をプリントし、記者に配付していた

 それぞれの顔色や焦り具合を見れば、おおよその進捗状況がつかめる-。それが総勢6人という小所帯の良さでもありますが、それにしても紙の進行表での管理はあまりにアナログすぎではないだろうか。仮にも我々は、ITをテーマにする雑誌の編集部。プロジェクト管理と言えば大げさだけど、もう少しスマートに各自の締切日や全体の進捗状況を把握する方法があるのでは…。ということで、一念発起して代替案を模索し始めたのでありました。

 新たな“デジタル締切管理”に対して、編集部が望む主な要件をざっと挙げるとなれば、以下のようにまとまりました。
・従来の「エクセル一覧表」方式から違和感なく移行できること
・締切や進捗状況を「ビジュアルに」把握できること
・進行表のバージョン管理ができること
・オフィスだけではなく、自宅などからも閲覧できること
・無料(もしくは極めて安価)であること

 「プロジェクト管理」「チャート」「無料」…。さまざまなキーワードでネットを検索しているうちに、「これ、いいかも?」というサービスを発見。株式会社サムテックが運用している「みんなでガント.com」です。名前から想像がつくように、これはガントチャートを共有することに焦点を当てたサービス(ちなみにガントチャートとは、作業計画や進行予定を横棒グラフ形式で表現する工程管理図のこと)。同社のWebサイトから、主な特徴を引用すると、

・ 無料で利用可能
・ 会員登録不要(メールアドレスも要りません)
・ 特別なソフトのインストールも必要なし
・ 一人でいくつものガントチャートを作成可能
・ オンライン上にデータを保存している為、外出先からの閲覧や編集が可能
・ Adobe Flexで作成されたRIAアプリケーションの為、直観的な操作で編集が可能
・ 発行されたURLと設定したパスワードを共有したい人に教えるだけで共有が可能
・ だれがいつどんな目的で修正したのか。修正履歴も表示

…これらを見る限り、当編集部のニーズを満たしているようです。というわけで、早速試してみることにしました。

 設定は簡単です。Webサイトにある「ガントチャートの新規作成はこちらから」のメニューを選択すると、初期設定のページが表示されます。ここでガントチャートのパスワードや、プロジェクト期間を設定し「表を作成」ボタンを押す。すると、みんなで共有するガントチャートのURLが表示されるので、これを忘れずにメモしておきます。次に、プロジェクトを構成する各タスク(編集部の場合は各記事に相当)の名称や開始/終了日、担当者名などを記入していきます。その内容は直ちにチャート上に反映されます。各タスクを上下に入れ替える際は、マウスのドラッグ&ドロップ操作でOK。こうしてプロジェクト全体の進行計画を完成させていきます。

 ガントチャートが仕上がったら、先のURLとパスワードを関係者全員にメールなどで知らせます。届いた案内からURLにアクセスし、パスワードを間違いなく入力すると、各自のブラウザ上にガントチャートが表示されます。「このスケジュールはちょっときついなぁ」-。そんな場合は、開始/終了日などを変更し、コメントと共に保存し直すことが可能。それが更新履歴として記録されます。さらに、自分が担当するタスクの進捗状況を1%刻みで入力することができ、それは各タスクの実施期間を示すグラフ上に濃いオレンジ色として反映されます。実際に使ってみると、おおむね満足。編集部のスケジュール管理にとどまらず、ちょっとしたプロジェクト管理など応用範囲は広そうです。


画面2:みんなでガント.comで作成した締切一覧チャート。ネット上のサービスなのでオフィスだけでなく自宅などからもアクセスできる

 「Googleのカレンダー/ToDoと連携させたい」「更新履歴を逐一メールで受け取りたい」「携帯専用の画面がほしい」…。実務で使ってみると、様々な要望が出てきました。確かに、あれば便利な機能かもしれませんが、我々の目的は「理想的なプロジェクト管理体制を整えること」ではなく、あくまで「締切を守ること」。そう自分たちに言い聞かせて、しばらくは人間系の運用でカバーしつつ、試行錯誤を続けたいと思います。さてさて、今年のゴールデンウィーク明けの編集部は、余裕の雰囲気が漂っているのか、はたまた毎度よろしく蜂の巣をつついた状態になっているのか…。

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