[株価から見るIT企業の強みと弱み]

“Smarter Planet”、“BAO”、そしてソフト企業のM&Aで業績拡大を図る[IBM]

2010年6月23日(水)長橋 賢吾(フューチャーブリッジパートナーズ 代表取締役)

日本のIT市場における海外企業の存在感は大きい。その割に、海外企業の戦略や業績、さらには株価について耳にする機会は、意外に少ないのではないだろうか。そこで今回から、日本に進出している海外企業の戦略や業績・株価動向にスポットを当てる。今回取り上げるのは米IBM、言わずとしれた世界最大級のIT企業だ。

利益率の向上をM&Aの原資に

IBMの時価総額をご存じだろうか。答を言えば1675憶ドル(1ドル93円換算で15.5兆円)、トヨタ自動車の12.4兆円をはるかにしのぐ規模である。そんなIBMの戦略は極めてシンプルであり、一言でいえばソフトウェア・サービス路線の強化・拡充である。

図1に過去7年間の業績推移を示した。注目すべき点はソフトウェア比率の上昇と、ハードウェア比率の低下だ。売上高に占めるソフトウェア比率は03年12月期が16.1%だったのに対し、09年12月期は22.3%まで上昇した。一方でハードウェアのそれは、同期間に31.7%から16.9%まで低下している。

図1 IBMカテゴリー別売上高および売上総利益率推移(単位:百万USドル、%)
図1 IBMカテゴリー別売上高および売上総利益率推移

このことはIBMの収益性の改善に大きく貢献している。ハードウェアの売上総利益率は37%程度であるのに対し、ソフトウェアのそれは86%と圧倒的に高いからだ。実際、同社の売上総利益率も、37%から45.7%まで大幅に改善した。

この収益性改善がもたらしたメリットは明確である。利益が増加すれば、その分、自由に使える余剰資金も増加する。IBMは、この余剰資金を(1)M&Aによるさらなるソフトウェア事業の強化、および(2)研究開発に充当しているのだ。

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