クラウドは現実─。2010年5月16日〜20日、システム管理製品大手の米CA Technologiesは年次イベント「CA World 2010」をラスベガスで開催した。同日にCAからCA Technologiesへの社名変更を発表した同社はクラウドコンピューティング事業の強化に向けて一気に舵を切り、5日間の会期中に複数の新製品を発表した。連日、気温が30度前後まで上昇する中、約60カ国から集まったベンダーやユーザー企業のIT関係者7000人あまりは、クラウドの最新動向を貪欲に探っていた(写真1)。 2010年5月16日〜20日/米ラスベガス

キーノートセッション
今まさにクラウドは現実に
ウィリアム・マクラッケン会長兼CEO(写真2)やアージェイ・ゴーパル プロダクト&テクノロジ担当エグゼクティブ・バイス・プレジデントなど、CA Technologiesのエグゼクティブによるキーノートセッションは、クラウドの現状、すなわちクラウドは単なるバズワードや未来のシステム像ではないことを再認識させるものとなった。マクラッケン氏は5月16日のキーノートで「クラウドは現実化するのかと問われたら、その答えはノーだ。クラウドは現実になる“かもしれない”のではなく、今まさに現実になっている」と語り、クラウドを本格的に活用する段階に入ったことを強調した。

この1〜2年、共通の定義がないままクラウドコンピューティングから派生したキーワードが次々と誕生し、世界中のベンダーやコンサルタント、メディアが先を競って情報発信してきた。そして形や種類が異なるさまざまな“雲”の発生が、ユーザー企業を視界不良の状況に引き込んできた。「定義がバラバラなことが、(ユーザー企業にとって)クラウド活用の最も大きなハードルになっている」。CA World 2010の2日目、5月17日のキーノートでゴーパル氏はこう話し、聴講者に向けてクラウドを取り巻く環境の現状を説明した。
プライベートか、パブリックか、それともハイブリッドなのか。SaaSか、PaaSか、IaaSか、はたまたHaaSか。
派生語が生まれるたびに、それぞれの定義やクラウドの現実解についての議論が繰り広げられてきた。だが、各種クラウド関連サービスが現実に利用できるようになった今、その類の議論はユーザー企業にとって本質的な意味を持たない。肝心なのは、「分散コンピューティングやインターネットが普及した時期と同じように、大きなパラダイムシフトが起きている」(ゴーパル氏)という事実である。そして「パラダイムシフトを積極的に受け入れる組織こそ、新しい時代の勝者になる」(同)。
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